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平野歩夢「怒りしかない」不可解採点を見返す神演技、りくりゅうの「ありがとう」、小林陵侑が高梨沙羅をハグ…北京五輪名場面のウラ側
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byAsami Enomoto,Naoya Sanuki/JMPA
posted2022/12/30 06:05
りくりゅうペア、平野歩夢、小林陵侑と高梨沙羅。冬季アスリートが氷と雪の上で見せた躍動と涙は、誰もが忘れない
高梨沙羅と小林陵侑、同学年2人の美しい関係
<名言3>
う~ん……天才だと思います。
(高梨沙羅/NumberWeb 2022年2月16日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/852039
◇解説◇
日本中がエースの無念の涙と、友情あふれるハグに心打たれたのはスキージャンプ混合団体だ。
小林陵侑と高梨沙羅という男女ダブルエースを擁した日本は、高梨が1回目に大ジャンプを飛ぶなどメダルに向けてのフライトは順調に見えた。
しかしその期待は直後に暗転する。高梨のスーツの太もも周りが規定よりも大きいとの理由によって、失格となったのだ。
高梨は、失格を告げられた直後、小さな体をさらに小さく縮こまらせて泣いた。それでも、2本目は何とか集中を取り戻し、K点を大きく上回る98.5メートルのジャンプを飛んでみせたのは見事だった。混合団体4位にとどまった競技後、日本の4番手で出場していた小林はうなだれる高梨を慰め、その肩を優しく引き寄せた。
高梨と小林はいわゆる「同学年」である。中学生の頃から圧倒的な跳躍で「天才少女」と呼ばれ、高梨はメディアの注目を集めてきたが……そもそも球技が苦手だったりする、努力型である。その一方で何のスポーツもこなしてしまう小林のポテンシャルについて、以前からこのように捉えていた。
「ジャンプというか、体の使い方がすごく上手でポテンシャルが高い。何をやってもうまくできるんです」
「陵侑くんみたいなジャンプをするのは難しいけど、パワーをもらいます」
少しのうらやましさを感じつつも、タイプの違う同い年の存在がモチベーションとなっていたのだ。
決して流麗にしゃべるタイプではない小林だが、高梨に対するハグは長い期間ともに戦ってきたからこそ自然に出た行動だったのだろう。
その小林は、日本のエースとしてスーパージャンプを連発した。ノーマルヒルで金メダル、ラージヒルでも銀メダル。北京五輪のマスコット「ビンドゥンドゥン」を胸元に挟み込むオチャメな一面もあったが……北京五輪のスキージャンプで個人2種目両方でメダルを獲得したのは小林だけだったことが、その実力を雄弁に物語る。
「りくりゅう」ペアが北京で得た輝きの時
<名言4>
フリーを滑らせてくれてありがとう。
(木原龍一/NumberWeb 2022年2月20日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/852118
◇解説◇
数々のスターが輝いてきた日本フィギュアスケート界に、新たな光が誕生した。それは三浦璃来・木原龍一組のいわゆる「りくりゅう」ペアだ。