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平野歩夢「怒りしかない」不可解採点を見返す神演技、りくりゅうの「ありがとう」、小林陵侑が高梨沙羅をハグ…北京五輪名場面のウラ側
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byAsami Enomoto,Naoya Sanuki/JMPA
posted2022/12/30 06:05
りくりゅうペア、平野歩夢、小林陵侑と高梨沙羅。冬季アスリートが氷と雪の上で見せた躍動と涙は、誰もが忘れない
「すごく嬉しいです。彼を応援していました。歩夢は、すごかった。才能があって、挑戦し続けてきて、ついに金メダルを獲得しました。歩夢を誇りに思います」
高木美帆が言われた“顔が死んでいたけど大丈夫?”
<名言2>
“顔が死んでいたけど大丈夫?”と連絡が来たほどでした。
(高木美帆/Number1049号 2022年4月14日発売)
◇解説◇
とにかく、北京のリンクを滑りに滑り続けていた。スピードスケート界でどの距離でもこなせる超オールラウンダーへと成長を遂げた高木美帆は、北京五輪で以下の成績を残した。
〈高木美帆の北京五輪結果〉
3000m:6位/1500m、500m、団体パシュート:銀メダル/1000m:金メダル
自身にとって個人種目初となる金メダルに輝くだけでなく、冬季五輪日本人史上初の1大会4メダル獲得、夏冬通じて女性アスリート最多となる通算7個目のメダル獲得と、まさにメダルラッシュとなった。
成績だけを並べると順風満帆といった風に見えるが、五輪開幕前から序盤戦にかけて、高木は厳しい状況にいた。まず開会式2日前にナショナルチームのヘッドコーチとして尽力していたヨハン・デビットが新型コロナウイルス陽性となり、チームを離脱してしまった。そして迎えた大会初戦である3000mでは6位。この種目でもメダルを狙っていたゆえ、冒頭の言葉のようにテレビ観戦していた兄から、心配のメッセージが届いたという。
「だから、今は4年前より前向きですよ」
2日後の1500mでは銀メダルを獲りながらも「1500mでは金を獲れなかった悔しさと、決して良くはない状態であそこまで滑れたことを評価したいという両方の気持ちがありました。ただ、あまり話しすぎると感情が表に出てきてしまうのではないかと、セーブしていたように思います」と、表彰式で硬い表情を浮かべていた。
それでも全種目の中で実績が少なかった500mで自己ベストを出しての銀メダルで勢いに乗ると、得意の1000mで金メダルを獲得したのだった。
「やりたいこと、新しく挑戦してみたいことを選べる場所までは来られたのかな。だから、今は4年前より前向きですよ」
現在はナショナルチームを離れて活動している高木。新たなスタイルでどのような滑りを追求していくのか、注目していきたい。