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“障害界の絶対王者”オジュウチョウサンが相棒・石神深一とラストランへ…「乗っていて感動しました」武豊も唸らせた最強ハードラーの足跡
posted2022/12/23 17:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
「障害界の絶対王者」として数々の金字塔を打ち立てたオジュウチョウサン(牡11歳、父ステイゴールド、美浦・和田正一郎厩舎)が、今週の第145回中山大障害(12月24日、中山障害芝4100m、3歳以上J・GI)でラストランを迎える。2016年の中山グランドジャンプでJ・GI初制覇を遂げてから6年半。ひとつの時代が終わろうとしている。
障害重賞を史上最多の15勝。うちJ・GIをこれも史上最多の9勝。障害重賞13連勝も史上最多。1番人気で史上最多の9連勝(2位はタケシバオー、マルゼンスキー、マックスビューティ、テイエムオペラオーの8連勝)。同一重賞最多勝となる中山グランドジャンプ6勝。そして、平地と障害の11連勝は、ほかのどの馬もなし遂げていない。
これらの記録が、オジュウチョウサンの偉大さを物語っている。
石神深一「オジュウは絶対に転ばないとわかるんです」
オジュウチョウサンは、2011年4月3日、北海道平取町の坂東牧場で生を受けた。
2歳時の13年秋、美浦・小笠倫弘厩舎の所属馬としてデビューした。平地で2戦するも勝つことができず、1年の休養を経て障害に転向。そこから一気にスターダムにのし上がったのかというと、そうではなかった。
14年11月、大江原圭を背にした障害初戦はしんがりの14着。その後、美浦・和田正一郎厩舎に転厩し、山本康志の手綱で15年2月、障害4戦目の未勝利戦で初勝利を挙げる。つづくオープンも勝ったが、次走のオープンでは9着に終わった。
そんなオジュウにとって転機となったのは、その後主戦となる石神深一との出会いだった。
コンビ初戦、同年6月の東京ジャンプステークスは4着。つづくオープンを勝ち、イルミネーションジャンプステークス(4着)を経て臨んだ中山大障害で6着となる。まだ力を出し切っていないように感じた石神は、メンコの耳覆いを外すことを和田調教師に進言。それが奏効してレースに集中するようになり、16年初戦のオープンで2着となってから、前述したように連勝街道を突き進む。