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ジャックドールは「令和のサイレンススズカ」なのか? 徹底比較して見えてきた違いと“最大の共通点”「このラップで走れる馬は…」
posted2022/04/02 06:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa/Photostud
5連勝で金鯱賞を逃げ切ったジャックドール(牡4歳、父モーリス、栗東・藤岡健一厩舎)が、今週末、春の中距離王を決める大阪杯に出走する。
連勝街道を突っ走り、金鯱賞を圧巻のレコードで逃げ切ったこと。そして、流星の目立つ栗毛馬であることなどの共通点から、この馬を、1990年代後半にターフを沸かせた「稀代の快速馬」サイレンススズカに重ねて見ている人が多いようだ。
はたしてジャックドールは「令和のサイレンススズカ」になり得るのか。2頭のキャラクターやレースぶりを比較しながら、考えてみたい。
ジャックドールとサイレンススズカの血統面を比較
まずは、血統などのプロフィールから。
サイレンススズカは、1994年、平取町の稲原牧場で生産された。馬主は「スズカ」の冠で知られる永井啓弍氏。栗東・橋田満厩舎に所属した。
父は、日本の競馬界を世界レベルに引き上げた大種牡馬サンデーサイレンス。母はアメリカ産のワキア。その父ミスワキも、凱旋門賞馬アーバンシー、イタリアの名馬ミシルを送り出すなど種牡馬として成功した。
ジャックドールは、2018年、日高町のクラウン日高牧場で生産された。14年の馬主歴でこの馬が初の重賞勝ち馬となった前原敏行氏の所有。1歳時、セレクションセールにて3456万円で落札された。栗東・藤岡健一厩舎に所属している。
父は、マイルから2000mまで無類の強さを発揮した2015年の年度代表馬モーリス。母はアメリカ産のラヴァリーノ。その父アンブライドルズソングは産駒のアロゲートなどの活躍により北米リーディングサイアーになった名種牡馬で、無敗の三冠馬コントレイルの母の父としても知られている。
サイレンススズカの取引価格は明らかにされていないが、この馬が生まれた翌95年から13年連続でリーディングサイアーとなるサンデーサイレンスの産駒ということで、血統的背景に関しては、サイレンススズカのほうが距離適性などに幅があり、上と見るべきか。