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“障害界の絶対王者”オジュウチョウサンが相棒・石神深一とラストランへ…「乗っていて感動しました」武豊も唸らせた最強ハードラーの足跡 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2022/12/23 17:00

“障害界の絶対王者”オジュウチョウサンが相棒・石神深一とラストランへ…「乗っていて感動しました」武豊も唸らせた最強ハードラーの足跡<Number Web> photograph by Photostud

2021年の中山大障害を制したオジュウチョウサンと主戦の石神深一。数々の記録を打ち立てた不世出の障害王が、ついにラストランを迎える

 平地の条件戦にも多くのファンとメディアを呼び、平成最後のグランプリで日本最高の騎手と観客を感動させるなど、オジュウは新しい景色を見せつづけてくれた。

“敗戦の弁”に真のトップジョッキーの姿を見た

 こうしてオジュウが平地のレースに出走している間も、石神は、普段の調教に騎乗しつづけていた。

 翌19年初戦の阪神スプリングジャンプから石神に手綱が戻り、つづく中山グランドジャンプを完勝。同レース4連覇を果たし、J・GI6勝目をマークした。

 そして秋。再び平地との二刀流に挑むことになったオジュウは、10月6日、東京芝2400mの3勝クラス、六社ステークスに石神を背に臨むも、10着と大敗。果敢に先行したが、1000m通過1分2秒7のスローになり、最後の瞬発力勝負になったことが響いた。

 レース後、検量室前に出てきて、背筋を伸ばして囲み取材に応じた石神の表情を、私は今も忘れられない。悔しさと落胆を押し殺し、淡々とレースを振り返った。名馬の主戦としての責任を背負った、真のトップジョッキーの姿を見たように思った。

 その後、オジュウは松岡正海を背にしたアルゼンチン共和国杯で12着、ミルコ・デムーロが騎乗したステイヤーズステークスで6着に敗れたのち、20年初戦の阪神スプリングジャンプ(1着)から、また石神を背に、障害路線に専念することになった。

 次走の中山グランドジャンプで、JRAの同一重賞最多連勝記録となる同レース5連勝をマークした。が、11月の京都ジャンプステークスで3着となり、障害レース連勝記録は13でストップ。石神によると、最終障害で脚をぶつけ、馬の気持ちが途切れてしまったという。

 それ以来の実戦となった21年4月の中山グランドジャンプは5着。骨折による休養を経て臨んだ10月の東京ハイジャンプは3着に敗れたが、つづく中山大障害でJ・GI8勝目を挙げ、「限界説」を吹き飛ばした。

【次ページ】 「とにかく無事に…」いざラストランへ

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