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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
W杯優勝で「500万人集まるとか狂乱の極み」「電柱・信号よじ登り→落下続出」アルゼンチン絶頂… 宿敵ブラジルも前代未聞の絶賛
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/12/22 11:04
W杯決勝、メッシのPK成功に大きく沸くアルゼンチンサポーター。英雄の帰国後も大変なことに
結果は「メッシ」が46%、「同じくらい」が40%、「マラドーナ」が14%だった。多くのアルゼンチン人が、「メッシは伝説の英雄マラドーナを超えた」と考えている。
メッシ以外にも、準決勝クロアチア戦で見事な2得点をあげるなど計4得点を記録した22歳のFWフリアン・アルバレス、華麗なスルーパスで多くの決定機を演出して最優秀ヤングプレーヤーに選ばれた21歳のMFエンソ・フェルナンデス、中盤を豊富な運動量とすさまじい闘志で制圧したロドリゴ・デパウル、再三の驚異的な好守でピンチを救って大会最優秀GKに選ばれたエミリアーノ・マルティネス……。『オレ』は、E・マルティネスのことを「ゴール前のメッシ」と称えた。
アルゼンチンを応援するはずのなかったブラジルが
ブラジル人たちは、準々決勝でセレソンを延長、PK戦の末に下したクロアチアが準決勝でアルゼンチンに歯が立たなかったのを見て、「このアルゼンチンにはとてもかなわない」と考えた。「準決勝でアルゼンチンに負けていたら、最悪だった。準々決勝で敗退してアルゼンチンと対戦しないで済んだのは幸運だった」という声すら聞かれた。
これまで、ブラジル人が最大のライバルであるアルゼンチンを応援することはついぞなかった。
2014年の自国開催のW杯の決勝は、ドイツとアルゼンチンの対戦。ドイツは準決勝でブラジルを7-1と叩きのめした憎き相手だが、それでも誰もがアルゼンチンの敗北を願ってドイツを応援した。延長戦でマリオ・ゲッツェのゴールでドイツが優勝すると、メディアも国民も喜んだ。
しかし今大会に限っては――準決勝後、「これだけ素晴らしいプレーをするメッシは、自身5回目にしてこれが最後となるこの大会で優勝してしかるべきではないか」という声が出始めた。日刊紙『グローボ』は、「決勝で我々はアルゼンチンを応援すべきなのか」と自問する記事を掲載した。結局、キリアン・エムバペが率いるフランスを応援する人とメッシを擁するアルゼンチンを応援する人がほぼ半々に分かれた。
「W杯史上、最も素晴らしい決勝戦の一つ」
試合後、ブラジルのメディアは「W杯史上、最も素晴らしい決勝戦の一つだった」と評価し、メッシの超人的なプレー、アルゼンチンの緻密な組織力と高度な個人能力が相まった美しいフットボールを賞賛した。ブラジルのフットボール史上、アルゼンチンをこれほど素直に評価し、称えたのは前代未聞だったのではないか。