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セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
「め、メッシがイタリア人認定?」アルゼンチンW杯優勝に“なぜかイタリアが超ウキウキ”なワケ「マラドーナ神が乗り移った!」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byMutsu Kawamori
posted2022/12/22 11:03
ついにW杯トロフィーを掲げたメッシとアルゼンチン。しかしなぜ、イタリアが大ハシャギしてるのか
北都トリノでは、ユベントス組であるMFアンヘル・ディマリアとMFレアンドロ・パレデスの戴冠を喜ぶ声が上がった。
首都のロマニスタは、FWパウロ・ディバラの肝の据わったPKに喝采を上げ、北のミラノではインテリスタがFWラウタロ・マルティネスの奮闘ぶりを称えた。
「我々も南米やカタール、世界とつながっているという証」
現役セリエA組だけではない。
21年冬に退団するまで通算200試合以上に出場したFWアレハンドロ・ゴメス(セビージャ)や迫力の守備を見せたDFクリスティアン・ロメロ(トッテナム)の活躍に、古巣アタランタのファンたちは溜飲を下げた。
大会を通して圧巻の存在感を見せたMFロドリゴ・デパウルとDFナウエル・モリーナ(ともにA・マドリー)は、ともに近年のウディネーゼが鍛え上げた傑作といっても過言ではない。21年まで主将を務めたDFヘルマン・ペッセージャ(ベティス)の世界王者戴冠に、古巣フィオレンティーナのファンも鼻高々だっただろう。
イタリアなくしてアルゼンチンなし。故郷のマルケ州なくしてメッシなし。
彼の地の人たちは、ユーモアや酔狂ではなく、本気の大真面目でそう思っている。
メッシのイタリア人化を目論んだフィオルドモ元町長は、今も遠戚を通じてコンタクトを保ちつつ、英雄の“里帰り”を願ってやまない。
「メッシ一家のたどった歴史は、この土地から旅立っていった、何千という同郷人たちと根を同じくしています。来訪が本当に実現するかはわかりませんが、町の子供たちにも『メッシは郷土史の一部だ』と後世に語り継いでいきたい。引いては(イタリアの田舎の)我々も南米やカタール、世界とつながっているという証ですから」
おらが村の世界王者。遠い兄弟の国アルゼンチン。
同じ欧州の仇敵フランスやドイツ、イングランドを絶対に応援したくないイタリアにとって、カタールW杯のアルゼンチン優勝は、最高の大団円だったのだ。
<アルゼンチン+ブラジル編につづく>
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。