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W杯ブラジル戦のウラで「バルサ女子がカンプノウで4万6967人」盛況なワケ… メッシ後に君臨する“女王”、熊谷紗希が見せた悔しさ
posted2022/12/17 11:02
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
スペインで女子サッカー人気が高まっている。11月24日、サッカー界4年に一度のメインイベント、カタールW杯が行われているその裏で、女子チャンピオンズリーグのグループステージ、バルサ対バイエルン・ミュンヘン戦が行われた。その撮影に赴いた。
ほぼ同じ時間帯、ブラジルがW杯初戦を戦う中、また平日開催という条件にもかかわらず、カンプノウには4万6967人の観客が集まった。これは女子CLのグループステージにおける観客入場者数の新記録となった。
また昨シーズンには、女子CL準決勝バルサ対マドリー戦において、カンプノウに女子サッカーとしては世界記録となる9万185人の観客が集まっている。さらに数週間後の準決勝、対ヴォルフスブルグ戦では9万1553人もの観客がスタジアムを埋めて、記録を更新している。
現在カンプ・ノウスタジアムは、日本の建築設計事務所である日建設計監修の元、改築工事が行われており、この日も南ゴール裏席には入場制限がかかっている。
実際にスタジアム上段まで足を延ばして全景を撮影してみると、入場制限のかかる南ゴール裏席、そして3階席を除くとかなりの密度でファンがいることが分かる。プレー写真の背景にもたくさんの熱狂するファンの姿が写り込む。
バルセロナの新たなスターとなった“女王”
この女子サッカー興盛の要因の一つに、スターの存在がある。
バルセロナ中心地の一角に、あるサッカー選手のストリートアートが描かれている。以前ここにはマラドーナが描かれていたが、いつの間にか上書きされた。モデルの名前は、〈La reina - 女王〉ことアレクシア・プテージャ。バルサ・フェメニに在籍し、昨季に続き2年連続でバロンドールを受賞した。
2018年に新設されたバロンドール・フェミニン、2年連続の受賞は史上初となり、メッシが去った後のバルサにおいて、まさに女王なのである。怪我のためこの試合を欠場した彼女だったが、21-22女子CLベスト選手(21/22 UEFA Women's Champions League / Player of the Season)としての表彰がキックオフ直前のピッチで行われた。
〈La reina〉が姿を表すと割れんばかりの拍手、黄色い歓声がスタジアムを包んだ。男子バルサの試合よりも、若い地元少女ファンの姿が多く目に付く。バルセロナ出身のアレクシアの存在は、少女サッカープレイヤーに大きな夢を与えている。
この日対戦したバイエルンには、熊谷紗希が在籍する。この約1週間前、自身がキャプテンとして参加した“なでしこジャパン”の欧州遠征で、スペイン相手に戦い敗戦を喫している。多くのスペイン代表を抱えるバルサを前に秘する思いもあったはずだが、この試合ではベンチからのスタートとなった。