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W杯ブラジル戦のウラで「バルサ女子がカンプノウで4万6967人」盛況なワケ… メッシ後に君臨する“女王”、熊谷紗希が見せた悔しさ
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/12/17 11:02
男子チームは停滞が続いている一方で、バルサ女子は盛況の試合が増えている
イニエスタを連想させるチャンスメーカー
駆けつけた多くのファンの願い通り、試合はバルサのペースで進む。
その中心にいたのはもう1人のアイドル、アイタナ・ボンマティだった。このスペイン代表でもある小柄な14番は、中盤やや右寄りでボールを引き出すと相手の前に入り込むようにボールを運ぶ。その姿はイニエスタを連想させた。またスルーパスでチャンスを作り、コンビネーションから自身がゴールを狙う姿も印象的だった。
アイタナからのパスを受けるのは、ブラジル代表のジェイゼ。前線でタメを作るプレー、そしてブラジル人らしいテクニックあるドリブル。俊足を活かし、ゴール前のボールに飛び込む。
バルサの攻勢に、前半30分過ぎには早くも熊谷がアップに出てきたが、バイエルン守備陣がなんとかバルサの攻撃を跳ね返し続けた前半は、スコアレスのまま終わりを迎えた。
しかし、後半開始から2分も経たずバルサが先制点奪取に成功する。長身FWながら左サイドバックに入ったスウェーデン代表フリドリーナのクロスを、右ウイングのスイス代表アナ・マリアが折り返すと、ゴール前フリーのジェイゼが見事に頭で押し込んだ。ピッチを広く使われるとバイエルン守備陣はマークを見失ってしまった。
さらに13分後、またも左サイドを駆け上がったフリドリーナがグラウンダーのクロスを上げると、走り込んだアイタナが狭いGKとポストの間に流し込んだ。
圧巻だったのは66分、ゴール正面ボックスの外でパスを受けたスペイン代表21歳のピナが、相対するDFを巻くように放ったミドルシュートはサイドネットに突き刺さり3-0とした。見事な放物線を描いたシュートには、おもわず撮影しながらも感嘆の声を漏らしてしまった。
それはサポーターの反応にも現れ、アイタナやピナが交代する際にはスタンディングオベーションが送られた。
熊谷は3点ビハインドから投入されたが
熊谷は74分に投入された。CBに入ると、ラインをコントロールしオフサイドトラップを取るシーン、体をぶつけてボールを奪いにいくシーン、またボランチもできる足元の技術から、最終ラインでも落ち着いてボールを保持し、左右にボールを散らし流れを作ろうとした。
しかし、大局を変えることはできず、3-0のまま試合終了のホイッスルがなった。