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「あれは“私たち”のシステムだ」元広島・ミキッチが語る森保監督の手腕とは? 露骨な“手のひら返し”に「すべてが白か黒じゃない!」 

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長束恭行

長束恭行Yasuyuki Nagatsuka

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photograph byMasashi Hara/Getty Images

posted2022/12/01 11:04

「あれは“私たち”のシステムだ」元広島・ミキッチが語る森保監督の手腕とは? 露骨な“手のひら返し”に「すべてが白か黒じゃない!」<Number Web> photograph by Masashi Hara/Getty Images

森保一監督と握手をかわす現役時代のミハエル・ミキッチ(2017年)。サンフレッチェ広島で共に3度のJリーグ制覇を成し遂げた“盟友”だ

盟友・森保監督への批判に思うこと

――テーマを森保監督に移しましょう。あなたは彼の下でJリーグ優勝を3度経験したわけですが、どんな印象を持っていますか?

 とても穏やかで落ち着きがあり、グループをしっかりとまとめ上げる、素晴らしい監督だ。彼の下では不明点というものがない。つまり、「このプレーヤーから何を得られるか?」「このプレーヤーに何を要求できるか?」を正確に知っている。組織プレーの原則もわかっているし、とてもシステマチックに対戦相手を分析する。彼には賛美の言葉しか見つからないよ。中でも最高の能力というべきものが、選手変更の際に「どのプレーヤーが何をもたらせるか?」を察知する本能だ。監督の采配には「どのプレーヤーをいつ投入するか?」という本能が必要になってくる。

――彼が率いる日本代表の試合を見ていると、やっぱり広島時代との共通点に気付きますか?

 そうだね。唯一言えるのは「彼はさらに進歩を遂げ、本物の監督へと成長した」ということだ。

――残念ながら、その森保監督は日本で多くの批判を浴びています。

 それはすべて結果に左右されると思う。もしコスタリカに勝利していたら、森保は日本史上最高の監督になっていたはずだよ! つまり、90分間で世の中のイメージはガラリと変わってしまう。実際、ドイツに勝利した1試合で「森保は世界最高の監督だ」と言われていただろう? そして誰もがコスタリカに勝利することを期待した。もし彼がコスタリカに勝利していたら日本の英雄になっていたはずだ。だが、こうしてコスタリカに敗れてしまった今、誰もが終焉だと思っている!

 現実的ではないかもしれないが、もしスペインに勝ったのならば、彼は再び世界最高の監督として祭り上げられるだろう。すなわち、4~5日間のうちに人々の考えは変わってしまう。サッカーはすべてが白か黒かじゃない! サッカーには長期的なプロセスが必要で、そのプロセスの中で彼をサポートしていかなければならない。ドイツ戦直後に森保がより優れた監督になったとか、より劣った監督になったとか、そういうレベルの話ではないと私は考えている。

 森保は自ら選んだプレーヤーをとても信用している。だからこそ監督の信頼を勝ち取って代表に選ばれたプレーヤーたちはもっともっと頑張らなければならない。代表に選ばれるべきと思われたプレーヤーが選ばれないことは何ら問題ない! だからこそ、新たに代表に加わったプレーヤーは自分に価値があることを知り、非常に優れたプレーヤーであることを自認すべきなんだ。

<後編へ続く>

#2に続く
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