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W杯前に日本人カメラマンが撮ったU-21スペインvs日本「リアルな実力差」ハイプレス空転の完敗を“未来予測”にしないためには…
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/12/01 06:00
U-21スペインvsU-21日本。カタールW杯を前に親善試合で激突した
日本はA代表と同じく、4-2-3-1の布陣を敷いた。トップ下に入る10番・鈴木唯人(清水)を中心に攻撃を組み立てる。ワントップには9番の藤尾翔太(徳島)、右サイドからは三戸舜介(新潟)、左サイドでは斎藤がチャンスを狙った。
ボランチではキャプテンの藤田が声をあげ、7番山本理仁(ガンバ大阪)が縦横無尽に駆け巡った。
前線からコースを限定しながらプレスをかける日本に対して、それでもGKから着実にパスをつなぐスペイン、という構図に。
攻撃の中心は10番ロドリ(ベティス)、ブライアン・ヒルがサイドにタメを作る。CBパチェコが日本の攻撃に立ちふさがる。今シーズンよりマンチェスター・シティに所属するセルヒオ・ゴメスもいる。欧州主要リーグでプレーするだけでなく、CLやELの舞台をも経験済みの選手ばかりだ。
“前プレ”がかわされ、受け身にならざるを得なかった
試合は序盤からスペインのポゼッションが上回る。日本のハイプレスが空回りした形だ。スペインが日本の前プレスにも慣れてくるとピッチ全体を使い、プレスを回避する場面が増え、日本陣内に押し込まれる展開が増えた。しかし日本はなんとか相手フォワードの前に出てボールを跳ね返すDF陣の奮闘が目立った。
そして24分、相手との接触で鈴木が倒れゲームが止まる。かなりの出血でベンチメンバーにも心配の表情が浮かぶ。この間、日本メンバーは監督のもと指示を仰ぐ姿が見られたが、スペイン側では、ピッチ上で2、 3人のグループとなり話し合う姿が見られた。
1人少ない状況が5分近く続いたが、なんとか凌ぎきると、再びピッチインした鈴木が接触を恐れずゴール前に侵入。さらには、斎藤からのパスをCBの間で受けとりDFラインの裏に抜けGKと1対1の好機を作ったものの、決め切ることはできなかった。
前半を通して見ると、日本の好機もあったが、スペインのポゼッションがかなり上回った。
スペインは自分たちのサッカーを展開するが、ゴールを奪うことだけができなかった。日本としては“前プレ”がかわされ、受け身のサッカーをせざるを得なかった。どのくらいこのような展開を戦前に想定していたかは分からないが――試合が進む中、スペインの攻撃に対応することができなくなり、後手後手に回ってしまったのだ。
スコアレスで迎えた後半、親善試合ということも影響したか、頭より日本は2枚、スペインは3枚の選手交代が行われた。そして開始早々の47分、交代出場したトゥリエンテスがゴールを奪った。