サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
ドイツ戦前日、森保監督と吉田麻也は“ある言葉”を共有していた…練習から歓喜の勝利まで、現地記者が見た「テレビ中継には映らなかった名場面」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2022/11/25 17:02
ドイツ戦勝利後、がっちりと握手を交わした森保一監督と吉田麻也
ドイツ戦で結実した“日本の団結力”
髪を赤く染めてプレーした長友は「ここまで派手なことをやると、もしダメだったら全部自分が批判を受ける。それくらいの覚悟でやった。それは若手にノビノビとプレーして欲しかったから。頭皮を傷つけたし、おじさんになってくるとキツい部分もありますけど、それでもやって良かったと思う」と笑ってみせた。ミックスゾーンではキックオフ前の円陣からイタリア語の「コラッジョ!(勇気、元気の意味)」を連呼して仲間に気合を入れたことを明かし、先に取材対応していた浅野に「ブラボー!」と連呼。「おまえがヒーローだ。たくさん話せ」と背中を叩いていた。
浅野をはじめ、日本は交代選手が点に絡んだ。堂安の同点ゴールの時も、浅野の勝ち越し弾の時も、ベンチメンバーが一目散にゴールを決めた選手の元へダッシュした。その中には、ドイツ戦出場が叶わなかった守田英正もいた。守田はベンチからのダッシュでほぼ先頭を切って走り、勢いよく得点者に駆け寄っていた。ドイツ戦は大事を取って出場しなかったが、状態は順調に上向いているようだ。
長友はこう言った。
「比べる必要はないかもしれないけど、ドイツのベンチの雰囲気と日本のベンチの雰囲気は全然違っていたと思う。みんなの熱量が高くて、みんなが一緒に戦っていた。あれは感動するレベル。ずっとみんなの心を一つに繋げることが大事って言ってたのはこういうことなんですよね」
堂安は「試合前から、もし0-1になって、0-2にならなければサウジアラビアみたいなこともあるし、ウェールズみたいなこともあると、キャプテンがずっと話していた。まさに(吉田)麻也君が言う通り。多分初出場の選手ではその意見は出なかった。彼らの経験と若い選手の勢いが融合した勝利だと思う」とベテランに感謝した。
涙を浮かべていた吉田はすぐ冷静になった
テレビエリアでは感無量で涙を浮かべていたと聞く吉田も、ペンのミックスゾーンに来たときはもう冷静だった。
「プラン通りに我慢して戦ったことが勝利につながった。でも、まだ1勝しただけ。ここで浮き足立たず、やるべきことに集中してコスタリカ戦に挑みたい」
グループステージ第2戦は27日。日本がコスタリカに勝って、ドイツがスペインに引き分け以下なら日本の決勝トーナメント進出が決まる。
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