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馬大好きの牧場オーナーなのに「馬アレルギーなんです…」“Yogibo&引退馬”牧場の“産みの親”岩崎美由紀さんが明かす「はじまりの1頭」
text by
伊藤秀倫Hidenori Ito
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/12/25 17:03
YogiboとアドマイヤジャパンのCM動画で話題になったヴェルサイユリゾートファーム。息子と一緒に引退馬牧場を立ち上げた岩崎美由紀さんにその経緯を聞くと…
「ギブアップって自分でするものでしょ?」
宝塚での経験は牧場オーナーとしての仕事に役立っているのでしょうか――そう尋ねた瞬間、美由紀さんは大きく頷いた。
「もう、すっごく活かされています! 宝塚での経験がほぼすべて。それは『何があっても諦めない、めげない』ということ(笑)。例えば宝塚では1年生のとき、上級生が『カラスは白い』と言ったとして、『あなたはなぜ黒いと思うの?』と訊かれたら、カラスが白い理由を考えて謝って、上級生に納得してもらわないといけない。理不尽な、とも思うんですけど、そうやって忍耐強く謝っているうちに、今度は本当に違うことに対しては『違います』と言えるようになるんですね。だから曖昧なところがない。そこは本当に宝塚にいてよかったな、と思っています」
誤解を恐れずにいえば、競馬の世界に理不尽の種は尽きない。
「でも悪いことを言われれば言われるほど、絶対に頑張ろうと思います。一時、『あそこに預けると馬が死ぬ』なんていう悪い噂が出回ったことがあって、スタッフの子たちは『許せない』『反論しましょう!』と怒ってたんですが、私は『放っておこう。言いたい人には言わせておけばいい。分かってくれる人は分かってくれるから』と言ってなだめたんです。結局、ギブアップって自分でするものでしょ? 自分が諦めない限り、挑戦は続く。だから私は絶対に諦めないんです」
そう言って微笑む美由紀さんの次なる「夢」は――。
「やっぱり凱旋門賞ですね。まだ観にいったことはないんですが、テレビで見ると皆さん綺麗に着飾って、うわぁスゴい、行きたいなって。でも行くときはウチで産まれた馬で、と決めているので……なかなか大変だとは思いますが、死ぬまでには(笑)」
パリで薔薇が咲き誇る日を夢見て、ヴェルサイユファームと美由紀さんの挑戦は続く。