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馬大好きの牧場オーナーなのに「馬アレルギーなんです…」“Yogibo&引退馬”牧場の“産みの親”岩崎美由紀さんが明かす「はじまりの1頭」 

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伊藤秀倫

伊藤秀倫Hidenori Ito

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2022/12/25 17:03

馬大好きの牧場オーナーなのに「馬アレルギーなんです…」“Yogibo&引退馬”牧場の“産みの親”岩崎美由紀さんが明かす「はじまりの1頭」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

YogiboとアドマイヤジャパンのCM動画で話題になったヴェルサイユリゾートファーム。息子と一緒に引退馬牧場を立ち上げた岩崎美由紀さんにその経緯を聞くと…

ジャパンCを制した名馬がやってきたが…

 転機となったのは2018年10月。1頭の引退馬がヴェルサイユファームにやってくる。ローズキングダム。2歳王者を決める朝日杯FS(GI)で優勝、皐月賞(4着)、ダービー(2着)、菊花賞(2着)と3歳クラシック戦線でも活躍し、2010年のジャパンカップも制した名馬である。現役引退後はヴェルサイユファームにほど近いブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬生活を送っていたが、馬房内で頭をぶつける大ケガを負い、種牡馬を続けることが難しくなってしまった。

 そこで「白羽の矢」が立ったのがヴェルサイユファームだった。

「ブリーダーズスタリオンさんの方から『引退馬をやってみたいって言ってましたよね。ローズキングダムを預かってくれませんか』というお話をいただいて。ただ、やってみたいとは言ったものの、(ローズキングダムが)ウチに来たときはケガの影響で半身不随みたいな状態で、まっすぐ立てなかったんです。さてどうしたものかな、と。とにかくそれで息子が病院に連れて行ったんです」

手術? そりゃするでしょう!

 やがて病院の崇文さんから美由紀さんに電話がかかってきた。

「やっぱり舌骨が折れていて、お医者さんによると『手術しても治るかどうかわからないけど、手術をすればこれ以上は悪くならない』と。それで息子に『どうする? 手術する? しない? どっち?』と訊かれて、『そりゃするでしょう!』と迷わず答えました」

 手術の結果、ローズキングダムは徐々に回復、牧場に来た当初はフラフラしていた歩様も今ではしっかりとしてきた。

「すべてはここから始まった感じですね。あれこれ考えるよりも先に『現実』が向こうから飛び込んできたみたいな。最初の頃は(引退馬の受け入れは)経営的にも本当に大変でしたが、おかげさまで趣旨に賛同してくれる人も増えてきて、息子もいろいろとやっていく中で、今はかなり軌道に乗ってきた感じはします」

 当初、引退馬はヴェルサイユファームの一角に繋養されていたが、2019年には同ファームから車で5分ほどの場所に崇文さんが代表を務める「ヴェルサイユリゾートファーム(現・Yogibo ヴェルサイユリゾートファーム)」がオープンし、今では16頭の引退馬が余生を送っている(「引退馬の牧場」をビジネスとして成立させた崇文さんの挑戦についてはこちら)。

「向こうには本当に実績のある有名な馬たちばかりなんですけど、そうでない馬も1頭でも多く受け入れたい。理想をいうと、少なくともウチで産まれた子たちは、この牧場に迎えてちゃんと余生を送れるようにしたい。生から死まで、ゆりかごから墓場まで、その一生を見守りたいんです。そのためにはもっと経営基盤をしっかりしなきゃいけないと思っているんです」

【次ページ】 息子・崇文さんとの「衝突」

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