プロ野球PRESSBACK NUMBER
佐々木朗希「これでちょっと気が抜けるかな」“景色が一変した2022年”を終えて故郷・岩手へ…“原点のマウンド”で誓ったことは?
posted2022/11/21 11:02
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph by
Chiba Lotte Marines
故郷の空気はやはり違うのであろう。
花巻空港に降り立った佐々木朗希投手はホッとした表情を見せた。
今年を締めくくる最後のマウンドは11月10日、札幌ドームで行われた侍ジャパンシリーズのオーストラリア戦。先発して4回、無失点の好投を演じた。
翌日、日本中の注目を集める男は札幌から空路、岩手に向かった。シーズン終了後に訪れて以来の地元でのオフ。花巻から大船渡に向かう車の中で「これでちょっと気が抜けるかな」と、濃く過ぎていった2022年シーズンの終わりに浸っているように静かに窓の外の景色を眺めていた。
故郷でよみがえる家族との思い出
花巻空港から大船渡市内までは車で1時間半ほど。山道を通過する道のりが続く。子供の時から何度も通った事のある道。少し険しい、ただの山道ではあるが、人にはそれぞれ色々な思い出があったりする。穏やかに流れる川に面したところで佐々木はクスッと思い出したように笑い、話をしてくれた。
「まだ小さい時の話ですけど、(4歳年下の)弟が服を汚して、慌てて車を止めてそこの川で洗濯をしたことがあります。なんだろう。母が川で洗濯をしていたことが凄く思い出深く残っています」
日本中からその名を知られる若者が、まだ普通の少年であった頃の家族の思い出。人にとって、ふとした日常の出来事が記憶に刻まれることがある。そんな思い出の数々が次から次へと頭を駆け巡る故郷までの道程。注目という重圧と戦ってきた日々から少しばかり解放され、懐かしの思い出に浸れる時間を楽しんでいるようだった。