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佐々木朗希「これでちょっと気が抜けるかな」“景色が一変した2022年”を終えて故郷・岩手へ…“原点のマウンド”で誓ったことは?
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2022/11/21 11:02
侍ジャパンの試合を終えて、そのまま岩手に向かった佐々木朗希。写真は陸前高田の海岸にて
いつの間にか気が付けば大船渡市内に入ろうとしていた。「毎年、景色が変わる」。ボソッとつぶやいた。外の様相も変わるが、佐々木朗を取り巻く環境も激変した1年でもあった。
今季3度目の先発登板となった4月10日のオリックス・バファローズ戦は、球史に残る試合となった。背番号「17」は完全試合を達成した。28年ぶり16人目、史上最年少20歳5カ月での偉業に日本中が沸いた。ドラフト入団前から令和の怪物と騒がれ注目を集めていた若者が文字通り、怪物であることを自らの手で証明し、世間に強烈な印象を与えた日となった。
そこから景色は一変した。シーズンオフにはギネス世界記録にも認定されるなど社会現象と化した。
「ボクにはもっと目標がある」
「完全試合は消えない記録なのでもちろんうれしい。ただボクにはもっと目標がある。あの試合で終わりなのではなく、もっともっと印象に残る試合を作っていきたいです」
地元に戻った際に行われたメディア対応で佐々木は強い口調でコメントした。
いつまでも独り歩きを続ける“完全試合”のワード。達成した数少ない選手として、背負い続ける覚悟はある。ただ、それが目指しているゴールではない。歩んできた道のりを振り返った時の足跡の一つである。
もちろん足跡の中でもひときわ大きく目立つもので永遠に消えない強烈なものだが、いつまでも振り返ったり、思い返したりして生きていくつもりはない。だから、完全試合を達成した翌日から次へと向かって歩み続けた。さらにピッチングを進化させるためにどうすればいいかをいつも考え、トレーニングも食事も一日の過ごし方も自分の身体に一番いい形をつねに考え続けている。