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「韓国のテレビ番組から“監督”のオファーが…」元北朝鮮代表・鄭大世はなぜ引退後に韓国で芸能活動を?「自分が好きだから、ずっと“センター”にいたいんです」
posted2022/11/08 11:02
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
Yuki Suenaga
『センター』から外されると、死にそうになります
――心置きなくスパイクを脱いだばかりですが、いま考えているセカンドキャリアのプランがあれば、聞かせてもらってもいいですか。
鄭大世 正直、すぐにやりたいことはなかったんです。だから、やりたくないことを洗い出し、選択肢から排除していきました。まず毎日、出勤して長時間働くのは嫌なので、会社勤めのサラリーマンはない。そう考えると、現時点では拘束時間の長い指導者も考えにくい。何よりも、時間と健康を大事にしたいので。これまで以上に家族と過ごす時間を取り、もっと旅行に出かけたりもしたいんです。時間的な余裕がある方がいいかなと。
――選択肢を減らしていった結果、方向性は決まったのでしょうか。
鄭大世 フリーで芸能の仕事をします。この道が一番しっくりきました。売れっ子になれば、忙しくなるかもしれませんが、いまイメージしているのは週に2回、3回働くペース。時間的なことに加え、自分の性格を考慮しても性に合っていると思いました。本田圭佑があるインタビューで「自分は自己中心的な人間。だから、自分が中心になれるポジションを探している」という趣旨のことを話していて、すごく共感を覚えました。僕も自分が好きだから、ずっと『センター(中心)』にいたいんです。たとえば、テレビCMの撮影をしているときなどは自分にスポットライトが当たるので、とても気持ちいいんです。一転、『センター』から外されると、不安が襲ってきて、死にそうになります。気が小さいから、死ぬ勇気はないけど(笑)。
サッカー選手にもいろいろなタイプがいます。アルビレックス新潟に在籍したとき、田中達也さんの練習に取り組む姿勢を見て、衝撃を受けました。試合のメンバー入りできそうにない状況でも、楽しそうに居残り練習をしているんですよ。「この人はすごいな」と思いました。きっと自分の存在よりもサッカーが好きなんでしょうね。僕の場合、サッカーよりも自分自身が好きなので、メンバーから外され続けると、サッカーが好きじゃなくなってしまう。芸能の世界もいろいろあると思いますが、テレビに出ているときは、スタメンみたいなものですよね。もちろん、需要がないとできませんが、すでに話はもらっています。
後悔しないことを重視して選択しました
――そうなんですね。その話を具体的に聞いてもいいですか。