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二刀流・矢澤を獲得した日本ハムがパ最高「70点」ではドラフト最低評価の球団は?「高校生ゼロは驚き」「なぜスラッガーではなく投手を?」

posted2022/10/23 11:01

 
二刀流・矢澤を獲得した日本ハムがパ最高「70点」ではドラフト最低評価の球団は?「高校生ゼロは驚き」「なぜスラッガーではなく投手を?」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

きつねの耳をつけてファイターズの1位指名を喜ぶ矢澤宏太(日体大)。大学野球界の二刀流として早くから注目されてきた

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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9球団が1位指名を公表する異例のドラフトとなった2022年。今年も126人の選手が指名された(支配下69人、育成57人)。ドラフト取材歴34年の小関順二氏に12球団の指名を採点形式で振り返ってもらった。全2回の2回目(#1セ・リーグ編から読む)

★日本ハム 70点

 矢澤宏太(日本体育大)の評価は投手・野手ともに1位クラスだったが、野手で高く評価するスカウトが多かった。その視点で見ると、外野陣は近藤健介、松本剛、今川優馬、万波中正、五十幡亮汰まで入れればかなりの陣容なので、ダブつかないか懸念点になる。

 ただ投手主体の起用で考えれば、チーム防御率3.46はリーグ5位なので、2位金村尚真(富士大)まで入れて戦力になると考えて及第点にした。主軸の近藤がFA移籍を噂されるだけに、2年目を迎える新庄剛志監督の起用法にも注目したい。

 3位の加藤豪将(メッツ3A)は、石井一成、中島卓也、上川畑大悟で構成される二遊間が盤石とは言えないので、入団となれば1年目からポジションを奪取する可能性は十分ある。全体を見ると、お家芸の高校生指名が4位安西叶翔(常葉大菊川・投手)ひとり。育成ドラフトの4人も含めても安西、藤田大清(花咲徳栄・外野手)しかいないリストは、これまでの歴史を考えると異例だった。

[指名一覧]
1位 矢澤 宏太 投手 日本体育大 左左
2位 金村 尚真 投手 富士大学 右右
3位 加藤 豪将 内野手 メッツ3A 右左
4位 安西 叶翔 投手 常葉大菊川高 右右 
5位 奈良間 大己 内野手 立正大学 右右
6位 宮内 春輝 投手 日本製紙石巻 右右

《育成指名》
1位 藤田 大清 外野手 花咲徳栄高 右左
2位 中山 晶量 投手 徳島インディゴソックス 右右
3位 山口 アタル 外野手 テキサス大学タイラー校 右右
4位 山本 晃大 投手 信濃グランセローズ 左左

即戦力路線に舵を切ったロッテ

★ロッテ 55点

 1位で荘司康誠(立教大・投手)を入札して楽天との抽選で敗れたロッテは、菊地吏玖(専修大・投手)という計算できるピッチャーを獲得した。1位指名選手の名前を公表しなかったのは相手の出方を見るという戦略的な部分が大きかったと思うが、結果は公表した楽天が当たりクジを引いた。

 優勝宣言して臨んだ今季、5位に沈んだこともあってか全体の指名は即戦力候補主体になった。佐々木朗希、種市篤暉、中森俊介などが揃う若手投手、捕手・松川虎生、内野手・安田尚憲、外野手・山口航輝、藤原恭大、高部瑛斗などが揃う若手野手の現有戦力は悪くない。ただ、攻めのドラフト戦略はチームの将来に大きな差になって現れる。

 そもそも、課題を補強するなら上位で安田、山口らとクリーンアップを形成できるスラッガータイプを獲ってもよかったが、2位の友杉篤輝(天理大・内野手)は守備と俊足が持ち味。ここ数年、攻めのドラフトを展開してきただけに少し残念だ。

[指名一覧]
1位 菊地 吏玖 投手 専修大学 右左
2位 友杉 篤輝 内野手 天理大学 右右
3位 田中 晴也 投手 日本文理高 右左
4位 高野 脩汰 投手 日本通運 左左
5位 金田 優太 内野手 浦和学院高 右左

《育成指名》
1位 吉川 悠斗 投手 浦和麗明高 左左
2位 白濱 快起 投手 飯塚高 右右
3位 勝又 琉偉 内野手 富士宮東高 右右
4位 黒川 凱星 内野手 学法石川高 右右

【次ページ】 支配下指名は高校生ゼロ

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