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「母親みたいな目線で見ちゃいました」1年前に“危機感”を訴えていた竹下佳江は、女子バレー眞鍋ジャパンの躍進をどう見た?
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byJMPA
posted2022/10/21 17:00
自身の現役時代を振り返りながら、眞鍋ジャパンの世界選手権での健闘を称えた竹下佳江。セッター陣への言及も興味深い
竹下が見据えるのは、世界選手権で5位になってよかった、という結果ではなく、来年のパリ五輪の出場権をかけて臨む最終予選だ。
出場すら叶わなかったシドニー、そして一度ユニフォームを脱いで再び覚悟を決めて目指したアテネ、北京、メダル確実と言われながらも出場権獲得に最後まで苦しんだロンドン。「あの緊張感は、そこに立った人でないとわからない」と前置きしながら、期待を寄せる。
「経験したスタッフはいるけれど、選手はほとんどいない。でも、知らないことが逆に計り知れないパワーにつながるかもしれない。そこで眞鍋さんがどうアプローチしていくのかですよね。プレッシャーをかけすぎてもいけないけれど、言うべき時もある。たとえば(準々決勝の)ブラジル戦でもセナが迷った時にタイムアウトを取って『最後は気持ちやぞ』と言っていた。そこは私たちの頃から変わらないんです。(10年の)世界選手権で、アメリカとの3位決定戦でフルセットになったとき、眞鍋さんがiPadを置いて『任せた』って言ってきたことがありました。あれだけ数字と言っておいて、任せた?と思いましたけど(笑)、それは、そう言われたら私が『やってやる』とわかっていたからで、実際に『任せた』と言われたことがありがたかったんです。最終予選の経験がない中でも、選手の本質を見抜いて、どういう言葉がけをするか。それが眞鍋さんの力だし、そこに選手はどう反応するのか。今からドキドキしますけど、楽しみですね」
1年前に訴えた危機感。組織として、抱える課題は数え切れぬほどにある。だが少なからず、日本代表も世界と戦えると希望を抱かせたのは確かだ。
だからこそ、ここから――。5位でよかった、ではなく、日本バレーボール界として何を目指すのか。見る者が願うのはただ1つ。来年、今以上に心躍らせるような日本代表が見たい。
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