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「スパイクを打ちたくなかった」石川真佑は世界バレーでなぜ爆発できた? 超マジメな22歳に響いた“木村沙織の言葉”と“眞鍋監督の提案”

posted2022/10/28 11:01

 
「スパイクを打ちたくなかった」石川真佑は世界バレーでなぜ爆発できた? 超マジメな22歳に響いた“木村沙織の言葉”と“眞鍋監督の提案”<Number Web> photograph by FIVB

“大きな壁”を乗り越えて世界選手権で存在感を発揮した石川真佑(22歳/東レアローズ)。五輪予選を見据えて、Vリーグでのさらなる飛躍を誓った

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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 25点先取で3セット。バレーボールでは、相手より先に75点を獲れば勝利する。

 時にデュースにもつれてそれを超えることもあるが、たいていは75点。その1点ずつに意味があり、そして試合を振り返った時に間違いなく転機となった大きな「1点」が存在する。

 9月30日。女子バレー世界選手権1次ラウンド、日本対ブラジル。

 試合開始直後に石川真佑(22歳)がもぎ取った「1点」は、まぎれもなくそんな大事で大切な、何より一度は失いかけていた自信を取り戻す、重要な「1点」だった。

ブラジルを動揺させた石川のサーブ

 正直に言うならば、試合開始前までは日本が苦戦を強いられるだろうと予想していた。いや恥ずかしげもなくもっとさらけ出すならば、勝つとは思っていなかった。なぜならそれまでブラジルは全勝、しかも日本には、その前々日の中国戦で負傷したキャプテン古賀紗理那がいない。

 厳しい戦いで負けるかもしれないけれど、それでも仕方ない。そんな予想や諦めを覆したのが石川のサーブだった。

 自身が立つ位置から真っすぐの方向に迷わず打ち、力とスピードを乗せたサーブはライン際にノータッチで落ちた。しかもその1本にとどまらず、続けて2本、3本目のサーブもブラジルの守備を崩し、完全に相手の出鼻をくじく。

 試合開始早々につかんだ大事な「1点」を石川が振り返った。

「緊張はしていました。でもサーブの感覚もよかったので『ミスをしたらどうしよう』という気持ちがなかった。この試合の入りはすごく大事だから、少しでも相手を崩したい。よし、スタートから行くぞ、って、前向きな気持ちでした」

 迷いなく、ポジティブに攻める。こんな石川真佑を見るのはいつぶりか。サーブを打つべくトスを上げる。その姿は実に清々しく、恐れを知らぬ若武者のようにすら見えた。

【次ページ】 母校の大先輩・木村沙織の言葉に救われた

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