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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「悔しかったけど…こんな面白い試合ある?って」石川祐希も山本智大もブランも信頼した“おじいちゃん”深津旭弘が37歳で味わった最高の試合
posted2024/12/28 11:03
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Koji Aoki/AFLO SPORT
なぜ、深津旭弘だったのか。
パリ五輪バレーボール男子日本代表のセカンドセッターである。
不動の正セッター関田誠大(ジェイテクトSTINGS愛知)とパリ五輪でタッグを組むセッターが誰になるのかは今年の注目ポイントだった。
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2021年の東京五輪後に監督に就任したフィリップ・ブランが起用したセッターは5人。関田を軸に、22年は大宅真樹(サントリーサンバーズ大阪)と永露元稀(大阪ブルテオン)、23年は深津、永露、山本龍(ミロン)をセカンドセッターとして起用した。
だが今年は、代表合宿がスタートした4月の時点で、関田と深津の2人に絞られていた。その時点でブランは、パリ五輪をその2人のセッターで戦うと決めていた。
「ファーストセッターとセカンドセッターは別のポジション」と語ったこともあるブランは、深津を選んだ理由をこう明かしていた。
「旭弘はチームにいいエネルギーを与えてくれるし、経験が豊富で、ベンチから出場しても短時間でいい準備ができる。関田がより良いコンディションで試合に臨むためにも、旭弘とのコンビがベストだと感じた。今年はパリ五輪までにいろいろなパターンを試す時間はない。できるだけメンバーを絞って強固なグループにしなければ」
関田はチームの絶対的な存在かつキーマンだっただけに、指揮官はセカンドセッターに、関田が少しでも楽に力を発揮できる相棒を求めた。昨年行われたパリ五輪予選では、フルセットの末に敗れた第2戦のエジプト戦で、関田が責任を一身に背負い込む姿があったが、そうした司令塔のプレッシャーや負担を少しでも和らげられる人材をブランは選んだのだろう。
「おじいちゃん」と慕われる37歳
その点で深津の最大の武器はコミュニケーション力である。人との距離を縮めるのが上手く、チーム最年長の37歳だが、歳の離れた選手にとっても近づき難さはない。
リベロの山本智大(大阪ブルテオン)は愛着を込めて「おじいちゃん」と呼び、13歳年下の大塚達宣(ミラノ)も、じゃれあいながら遠慮なく深津のお尻をひっぱたく。
関田は深津についてこう話していた。
「明るくて接しやすい人なんで、いろいろ話していますね。お互い何かあれば話すって感じです。結構人のことをよく見ているというか、観察していると思いますよ。僕も『こうやってるっしょ』みたいに言われることがあるので、やっぱり見られているなって」