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「ルメールの腕をもってしても…」秋華賞の勝負の分かれ目は“スタート”だった…スタニングローズと坂井瑠星は一気にブレイクの予感
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2022/10/17 17:00
秋華賞でともに初のGI制覇となったスタニングローズと坂井瑠星
骨折明けでもパドックでは春と変わらず伸びやかな歩様を見せ、状態はいいように見えたのだが、ここで休み明けのマイナスが出てしまった感がある。
1コーナー手前で、スタニングローズが好位の5、6番手につけていたのに対し、スターズオンアースはそこから6馬身ほど遅れた後方2、3番手と位置取りが悪くなった。
レースは淡々と流れ、道中、ほとんど出入りがなく、馬順の変わらない展開になった。
こうなっては、ルメールの腕をもってしても、小回りの内回りコースで馬群をさばくのはかなり難しくなる。
スタニングローズの豪快な末脚
スタニングローズは絶好位につけたまま4コーナーを回り、直線へ。ラスト300m付近で坂井の左ステッキを受けると豪快に末脚を伸ばし、嬉しいGI初制覇を遂げた。
「1、2コーナーでアートハウスの後ろを取れたときに、いいポジションだと思いました。直線では、これで負けたら仕方がないと思える反応でした」
好騎乗で能力を引き出した坂井にとっても、これが初めての中央GI勝利であった。
中団につけていたナミュールが、4コーナーで外に膨らみながらも追い上げてきて、2着。後方馬群の内で動かずにいたスターズオンアースは、直線で進路を内へ、外へと切り換えながら馬群を割って伸びてきたが、3着を確保するのが精一杯だった。これで、昨年のホープフルステークスからつづくJRA平地GIの1番人気は15連敗と、またもワースト記録を更新してしまった。
終わってみれば、上位3頭はオークスの着順を入れ替えただけという結果になった。
スタニングローズはノーザンファームの吉田勝己代表がフランスから輸入したローザネイを牝祖とし、大切に育んできた牝系「バラ一族」の1頭である。前述したように、秋華賞では3代母ロゼカラーが3着、2代母ローズバドが2着と惜敗し、「一族の忘れ物」となっていたのだが、見事にそれを手中にした。一族によるGI制覇は、ローズキングダムによる2010年のジャパンカップ以来、3度目となる。