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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クボはもっとゴールにこだわるべきだ」ソシエダの伝説的DFから久保建英への注文「パスの出し手という印象」「冷徹に狙っていい」
text by
フィル・ボールPhill Ball
photograph byGetty Images
posted2022/10/16 17:02
ソシエダで攻撃の中核として存在感を示している久保建英。ラ・レアルのレジェンドは彼の活躍をどう見ているのか?
「彼はこう言ってきたんだ。『なあ、アルベルト。 599は本当にいい数字だろう?』とね。僕もそう思ったけど、『600は、さらにいい数字だよ』と付け加えたんだ。 彼は更衣室の鏡を見つめながら、笑っただけだったよ。
次の週、バルセロナは優勝しなければならなかったが、うちは13位だったし、正直、それほど勝負に拘る必要もないはずだった。そんな中で50分過ぎにウォームアップしろと言われたから、それから20分間、必死に走り回った。ところが結局、彼は出場させてくれなかった。なんでそんなことをしたのかは今もわからない。ただ、まあ面白い数字であるのはたしかさ」
もしかするとトシャックは、あえて599で記録を止めて、スポットライトを当ててやろうとしたのではないだろうか。そう水を向けると、ゴリスは笑いながら述べた。
「いや、考えたこともなかった。今度会ったら聞いてみるよ」
ソシエダも地元の街も、好きにならない理由がない
夢中になって話し込んでいるうちに、1時間はあっという間に過ぎてしまった。ゴリスは2杯目のコーヒーを飲み干しながら、久保に寄せる思いをこう締めくくってくれた。
「たしかに久保は、どこかのタイミングでなんらかの挫折を味わうかもしれない。でも、その手の出来事はサッカー選手の人生につきものだし、彼はどんな困難も乗り越えていけるだけの資質を持っている。しかもまだ若い。これからいろんなことを学びながら、さらに成長していけるはずだ。
久保の場合は、チームともしっかりかみあっている。そもそもスポーツディレクターのロベルト(オラベ)は、ポゼッションサッカーを軸にしたラ・レアルのスタイルにうまくフィットすると確信して久保を獲得したわけだが、その見立ては正しかった。監督のイマノル(アルグアシル)も良い指導者だ。彼はとても愛情深く選手を見守っているし、常に選手のことをよく考えている。
実際、久保は自分がクラブ側から非常に評価されていると感じていると思う。これはサッカー選手にとって、決定的に重要な要素なんだ。いずれにしても、久保はラ・レアルにとって欠かせない選手になっていくと思う。既にそうなっているとも言えるがね。
それにサン・セバスティアンも、気に入ってくれているはずだ。食べ物は最高だし、街並みも、住んでいる人間も最高だ。この街の人たちは道端で選手を見かけても、迷惑をかけないように気を配ってくれたりする。どこをとっても、ラ・レアルやサン・セバスチャンのことを好きにならない理由がない。久保はついに、来るべき場所にたどり着いたんだよ」