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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クボはもっとゴールにこだわるべきだ」ソシエダの伝説的DFから久保建英への注文「パスの出し手という印象」「冷徹に狙っていい」
text by
フィル・ボールPhill Ball
photograph byGetty Images
posted2022/10/16 17:02
ソシエダで攻撃の中核として存在感を示している久保建英。ラ・レアルのレジェンドは彼の活躍をどう見ているのか?
「世間では、代表でプレーし続けることがクラブで好調を維持するのにそのままつながると考えられがちだけど、僕は違う見方をしている。むしろ大事なのは経験値なんだ。実際問題、僕の場合も代表でプレーした後の方が、ラ・レアルでのプレーが良くなったと思う。もう30を超えていたけど、それでも得るものがあったんだ。
これは時代が変わっても同じだと思う。さっきも言ったけど、サッカーは進化し続けている。プレースピードは単純に上がり、選手のフィジカルもレベルアップした。それにコンディショニングの環境も変わった。今では食事にも気を使うようになったし、メディカルケアのレベルも上っている。1980年代は、そりゃあひどいもんだったからね(笑)。
ただし、ワールドカップで選手が様々なことを学ぶのは、今の時代でも、所属クラブでのプレーに必ずプラスになる。だから僕は(ミケル)メリノと(マルティン)ズビメンディにもスペイン代表で是非試合に出てほしいと思っている。彼らが久保と対戦するのもいい見どころになるだろうし」
久保はもっとゴールにこだわるべきだ
ワールドカップが終われば、当然、ラ・リーガやヨーロッパの大会が再開する。果たしてゴリスは、シーズン後半戦における久保に何を期待しているのか。
「今の段階で読めないのは、(今年3月に負傷し、戦線を離脱していたフォワードの)ミケル・オヤルサバルが復帰してきた場合の影響だけだ。彼がチームに戻ってくれば、久保が左側のフォワードとしてプレーする機会は少なくなるだろう。
ただし個人的には、もともと久保は右から切り込んで左足を活かした方がいいと思っていた。関連して言うと、彼はもっとゴールにこだわるべきだ。得点力不足は、ラ・レアル全体が抱えている課題だがね。
たとえば先日の日本代表でも、久保はフィニッシャーというより、パスの出し手としてプレーしていた印象が強かった。実際、彼は日本代表でも、まだ1度しか得点を決めていないはずだし、冷徹かつ貪欲にゴールを狙っていい。それは十分にできるわけだから。エスパニョール戦で、GKにプレッシャーをかけてチャンスを作り出したクレバーな動き方。ああいうプレーにしても、同じことができる選手はそう多くない」
ゴリスの指摘は正しい。10月2日、アウェーで行われたラ・リーガのジローナ戦では先制点をアシストしただけでなく、自ら5点目を決めて5-3の勝利にチームを導いている。先日、古巣のビジャレアルをホームに迎えた試合でも攻撃陣の中核として活躍し、スタジアムのファンからスタンディングオベーションを受けた。
久保はヨーロッパリーグでも存在感を発揮している。9月15日のオモニア・ニコシア戦では途中出場して攻撃陣を活性化させ、その前節にオールド・トラフォードで開催されたマンチェスター・ユナイテッド戦では、敵の守備陣を脅かし続けた。これらの試合におけるプレーぶりは、ゴリスにも強烈な印象を与えていたようだ。