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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「クボは悪夢のような存在だ」ソシエダのレジェンドが語る久保建英の”存在しないスペース”を見つける能力「ダビド・シルバに似ている」
posted2022/10/16 17:01
text by
フィル・ボールPhill Ball
photograph by
Getty Images
「タケがラ・レアルに来てくれて本当に良かった!」
ラ・リーガの第8節、ビジャレアル戦の終了後、ラ・レアルこと、レアル・ソシエダはオフィシャルのSNSにこんなメッセージを掲載した。公式戦では12試合に出場し2ゴール4アシストを記録。しかも勝負どころで期待に見事に応える久保建英は、確実にインパクトを与え続けている。それはファンや選手、クラブ関係者だけではない。かつてソシエダで活躍したレジェンド、センターバックを務めていたアルベルト・ビクシオ・ゴリスもその一人だ。
1958年生まれの彼は、1981年と1982年にソシエダがリーガ・エスパニョーラのタイトルを獲得したチームの主要メンバーの一人だった。これは歴史的な偉業であり、それ以来、クラブのアイデンティティを形成する要素ともなってきた。また彼は歴代選手の中で最多出場記録(599試合)を持っているだけでなく、スペイン代表として12試合に出場した記録も誇っている。ソシエダを象徴するアイコン的な存在と目されるのは当然だろう。
ソシエダのレジェンドが語る久保建英論
彼のような人物にインタビューできる機会など、滅多に与えられるものではない。
だが私の場合は、少しだけ幸運に恵まれていた。彼は今、ソシエダのトレーニンググラウンドである「ズビエタ」で毎週、アマチュアサッカーに興じている。要はOB選手を中心にしたベテランチームが「ウォーキング・サッカー(歩くようなペースで行われる草サッカーの試合)」をしているわけだが、私は以前から同じチームでボランチやディフェンダーとしてプレーしてきたからだ。そんな縁もあって、久保についてじっくり聞いてみることにした。
ゴリスが住んでいるのはサン・セバスチャンから、自動車で20分ほど離れた場所にあるイルン。スペインとフランス、バスクのスペイン側とフランス側を隔てる境界線上にある、きれいな街だ。取材場所に指定されたのは、彼が行きつけの「Café Bulé」という店だった。
手短に挨拶を済ませてテラス席に座ると、顔見知りの人たちが声をかけながら通り過ぎていく。そしてもちろんゴリスも気さくに対応する。そのフレンドリーな様子、そして大学教授のようなルックスから、現役時代の彼はとても想像がつかない。若かりし日のゴリスは、妥協を許さぬハードなプレースタイルでスペイン中から恐れられていた。
私は彼に草サッカーの話題から切り出した。日本の旧友が、私のサッカー選手としての評価を知りたがっていると言うと、彼は笑いながら答えてくれた。
「君は僕がこれまで一緒に組んだ中で最高のディフェンダーの一人さ。当然、こんないいコメントをしたんだから、今日はコーヒーを奢ってくれるんだろう?」