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「クボは悪夢のような存在だ」ソシエダのレジェンドが語る久保建英の”存在しないスペース”を見つける能力「ダビド・シルバに似ている」 

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フィル・ボール

フィル・ボールPhill Ball

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posted2022/10/16 17:01

「クボは悪夢のような存在だ」ソシエダのレジェンドが語る久保建英の”存在しないスペース”を見つける能力「ダビド・シルバに似ている」<Number Web> photograph by Getty Images

ラ・リーガで今季2得点目を決め、ソシエダのチームメイトともに喜ぶ久保建英

「当時はオルドリッジでさえ、『外国の選手』だと思われていたんだ。あの頃に比べると、世の中はずいぶん変わったね。もちろん、それなりに変わっていくだろうとは思っていたけれど、正直、久保のような選手がラ・レアルのシャツを着てプレーしているのを見るのは、今でもちょっと不思議な感じがするよ。

 だけど、そういう流れも悪くない。お互いに多くを学べるからね。こっちは向こうから学び、向こうもこちらから学ぶ。どのみち、昔のような時代に戻るなんて想像できないし、サッカー界は変わったにせよ、そこに流れている感情は同じなんだ。なにより久保はスペインサッカーをよくわかっているじゃないか。彼がラ・レアルで成功することは間違いないさ」

センターバックにとっては悪夢のような存在だ

 もしゴリスがまだ現役でセンターバックとしてプレーしており、久保のような選手と対戦するような場面が訪れたなら、どう対抗するのか。そもそも彼は現役時代、1983年にカンプノウで行われたバルセロナ戦でマラドーナを徹底的にマークし、ファウルで警告を受けたようなタフな選手だった。やはり久保に対しても、同じような方法を取るのだろうか? 

「まあ、マラドーナは特別だったからね。当時のサッカー界では、がっしりしたセンターバックが上背のあるセンターフォワードをマークするのが一般的だったし、それが自分たちの仕事になっていた。でも、マラドーナには、そんな常識が全く当てはまらなかったんだ。最近ではサッカーがどんどん進化して、プレースタイルやスキルがさらに変わってしまった。

 たとえば僕は、久保が左右どちらかのウイングのポジションでもっと使われるだろうと思っていたけれど、実際にはセンターフォワードの後ろに空いている『穴』でプレーしている。しかも彼はボールを取られないように、体を張ってキープするのがうまいし、1対1の場面にも強い。おまけにスペースを把握する感覚にも優れている。

 正直な話、久保のような選手は、自分(のような古いタイプのセンターバック)にとっては悪夢のような存在さ。いくら彼をマークしたくとも、自分の持ち場(ゾーン)から離れることはできない。それに久保は、存在しないようなスペースを見つけるのもすごくうまいときている。ああいうところはダビド・シルバに似ていると思う」

ピッチ上で展開されている、新たなバトル

 久保は、ゴリスがプレーしていた頃には存在しなかったような、新世代の選手だと言えるのだろうか? そう水を向けると、彼はさらに細かな説明をしてくれた。

【次ページ】 久保が一変させた、日本人選手のイメージ

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