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「クボは悪夢のような存在だ」ソシエダのレジェンドが語る久保建英の”存在しないスペース”を見つける能力「ダビド・シルバに似ている」
text by
フィル・ボールPhill Ball
photograph byGetty Images
posted2022/10/16 17:01
ラ・リーガで今季2得点目を決め、ソシエダのチームメイトともに喜ぶ久保建英
0-7で惨敗…あまりに苦い日本での経験
ところがそこから話は思わぬ方向へ転がりだした。「日本」という単語を耳にしたからだろう、彼は久保の話題を差し置いて、いきなり日本にまつわる自らの経験を語り始めた。
「正直、日本には、あまりいい思い出がないんだ。僕は1990年のイタリア・ワールドカップ(グループステージのベルギー戦で得点している)に出場した後、サン・セバスチャンに戻ってきた。クラブでは既にプレシーズンの準備をはじめていたけれど、ワールドカップの疲れをいやすために、1週間余分に休む予定になっていたんだ。
すると突然、日本からお誘いが舞い込んだ。できたばかりの東京ドームで『シャープカップ』という大会が行われるから、参加してほしいとね。だから僕はチームと一緒に遠征することにした。飛行機は大嫌いだったがね。
でも試合の方は散々だったよ。言い訳にはならないけど、あのときはみんなすごく疲れていたんだ。それに招待してくれた日本の人たちは、東京ドームのピッチは人工芝だから特別なスパイクを用意してくれていたんだけど、残念ながらサイズは小さすぎたから、僕たちは自前で持ち込んだスパイクを履くことにした。
当然、スタッド(スパイクの裏についている爪)は人工芝に合わないから、うまくプレーできない。なのにフラメンゴの選手たちは、しっかり人工芝用のスパイクを用意してきたんだ。しかも、当時のフラメンゴにはいい選手が揃っていた。ジュニオール、レナト……ガウチョもいたよ。結果、僕たちは0-7で粉砕された。実際には、もっとひどい結果になっていた可能性もある。いずれにしても、あれは自分のサッカー人生で最悪の思い出の1つだよ。あれ以来、日本には一度も行ったことがないんだ(苦笑)」
(*試合の模様はダイジェスト版でYouTubeでも公開されているので、是非ご覧になってみてほしい)
久保のような選手がソシエダにいるのは不思議な感じ
ところがソシエダは今夏、その日本から久保を迎えている。そもそもソシエダは1980年代の末、リバプールからジョン・オルドリッジを獲得するまで、バスク純血主義を貫いていたチームとしても知られる。ゴリス自身、まさか30年後に、日本人選手について話す日がくることなど夢にも思わなかったという。