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完全試合シーズンを「タイトル無冠」「9勝4敗」…佐々木朗希の今季成績をどう考えるか? あの“3年前の大論争”に思う日本野球の激変
posted2022/10/15 06:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
JIJI PRESS
プロ野球2022年レギュラーシーズンが終わった。個人タイトルを見ると、いまや日本球界の顔になった村上宗隆(ヤクルト)、山本由伸(オリックス)が各リーグのタイトルを席巻。改めて二人の活躍には惚れ惚れするばかりだった。
佐々木朗希の「9勝4敗」をどう考えるか?
一方、今季序盤の球界を席巻した千葉ロッテの3年目右腕・佐々木朗希はタイトルを一つもとれなかった。3試合目の登板となった4月10日のオリックス戦で28年ぶりとなる完全試合を達成。翌週の日ハム戦でも8回まで完全投球を見せるなど、圧巻の活躍で3、4月の月間MVPを獲得した。
序盤のピッチングを思えば、山本との熾烈なタイトル争い、さらには沢村賞も狙えた、と物足りなさを口にする評論家がいるのも無理はない。終わってみれば最終成績は20試合登板で9勝4敗。完全試合を達成したシーズンでありながら、タイトル獲得、さらには規定投球回数と二桁勝利にも届かなかった。
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そんな佐々木に対してかけられる「過保護起用」の声――。
これまでの起用法を振り返ると、1年目は一軍に帯同しながら登板はなし。2年目にデビューを果たすも、先発すれば抹消という形を繰り返し、結果11試合の先発にとどまった。そして、開幕ローテーション入りした今季も、リミッターが外れるのかと思いきや、疲労が溜まれば即抹消という起用を続けたのである。
そうした“物足りなさ”が感じられる背景には、高卒1年目から大活躍した近年の大投手たちの例があるからだろう。