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“三冠王打法”ヤクルト・村上宗隆から松井秀喜への質問とその答え「すでに僕を超えている」「まだまだ遠い存在です」の真意とは?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2022/10/14 11:30
CSファイナル第2戦で値千金の逆転2ランを放ったヤクルト村上宗隆
「すでに僕を超えている」に村上は「まだまだ遠い存在」
「パワーもそうですけど、広角にレフトにも打てます。トップもしっかり引いてないと、あんな逆方向に大きな打球を打てないですよ。思ったよりスタンスが広い。スタンスが広いということは体がピッチャーに寄りにくいんじゃないかと思う。しっかりフォアボールも選べるのは彼にしかない何かを持っていると思います」
村上の打撃の印象を語った松井さんが「すでに僕を超えている」と言っていたと聞かれた村上は、改めて松井さんへの想いをこう語る。
「まだまだ遠い存在。もっと努力して松井さんのような、人として尊敬されるような人間になりたい」
そして背番号だけではなく村上と松井さんが持つ一番の共通点が、言葉だけではなくチームの勝利を最優先に打席に立っていること。そのことが日頃の言葉や行動で、チームメイトや見ているファンにしっかりと伝わってくることだった。
勝利への執念が最も問われる戦いがポストシーズンでもある。
ヤンキース時代の松井さんはポストシーズンで多くの伝説を残した。
1年目の宿敵・ボストン・レッドソックスとのリーグ優勝決定シリーズの第7戦“ゲーム・セブン”の死闘で、逆転の口火となった二塁打と同点のホームに滑り込んで見せた歓喜の姿。そして09年のフィラデルフィア・フィリーズとのワールドシリーズではペドロ・マルチネス投手からの2本塁打を含む3本塁打、8打点、打率6割1分5厘でOPSが何と2.028と爆発。そうしてシリーズMVPを獲得したように短期決戦には滅法、強かった。
「とにかく短期決戦は勝てればいい。勝ちに向かってチーム一丸、頑張ります」
村上もまた、この逆転2ランからポストシーズンの伝説が始まるのかもしれない。
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