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“元世代別日本代表”浦田樹はなぜクロアチアに? 日本、ブラジル、東欧を股にかけた独自のキャリアと「あるウクライナ人夫妻」への思い 

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長束恭行

長束恭行Yasuyuki Nagatsuka

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photograph bySiniša Sović / NK Varaždin

posted2022/10/15 11:00

“元世代別日本代表”浦田樹はなぜクロアチアに? 日本、ブラジル、東欧を股にかけた独自のキャリアと「あるウクライナ人夫妻」への思い<Number Web> photograph by Siniša Sović / NK Varaždin

クロアチア1部リーグのバラジディンに所属する25歳の浦田樹。インタビュー前編では、そのユニークな経歴について話を聞いた

――2020年になり、新たなクラブは見つかったんですか?

 そこでまた事件が起こりまして(苦笑)。スペインの3部リーグのクラブに契約を前提に赴き、1カ月ぐらい滞在したのですが、結局は「ビザが取れない」と。それで話はダメになり、移籍期間も終了してしまったので夏まで所属先がなく、社会人チームのエリース東京FCの練習に混ぜてもらいました。あとは草サッカーの朝練とか(笑)。「俺、どうしよう?」とは思っていましたけど、やっぱり日本にいれば心は全然楽ですよ。いろんなトレーニングもできますし、見てくれる人もいますし。

クロアチア1部からのオファーに「あっ、いいな!」

――で、いよいよ夏にクロアチアに渡るわけですね。

 はい、ついに。

――クロアチア1部のバラジディンに加入した経緯は?

 選手の映像やデータを提供するITサービス「InStat」で僕を見つけたコロンビアのエージェントがいて、そこと繋がっている日本人に連絡が入り、今度はその日本人からインスタを通してDMが来ました。そのエージェントが売り込んだコロンビア人FWのホルヘ・オブレゴン(現リエカ所属)がバラジディンで活躍していたので、エージェントとクラブの繋がりが一層強くなり、そのおかげで僕も入れた感は間違いなくあります。

――そのオブレゴンとはピッチ上でホットラインを築いていましたよね。

 そうですね。彼とは良い関係にあってプレーもやりやすかったです。性格的に優しくていいやつですよ。

――バラジディンのオファーの話を初めて聞いた時はどう思いましたか?

「あっ、いいな!」と。所属クラブがなかったんで、それでクロアチアに行けるんだったら。それも1部だし。でもクロアチアリーグに関する情報は全然なかったです。ディナモの名前を知っているぐらいですよね。

――8月下旬に加入し、すぐにレギュラーになりましたよね。

 ちょうどスタメンで出ていた選手が移籍したんです。チームとしてはうまく機能していなかったのですが、セットプレーを任せられ、キックの精度でアシストを残せたのは大きかったと思います。

――ウインターブレイク明けの初戦となるリエカ戦(第17節、2-1で勝利)では1ゴール1アシストの活躍でした。

 でも、その後に足首をケガしたんですよ。第25節のディナモ戦でロブロ・マイェル(現レンヌ所属のクロアチア代表MF)と接触した際に。

【次ページ】 “出戻り”にもチームメイトたちは「おー、お帰り」

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