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「国民的なアイドル」C・ロナウド37歳は母国で今、どう見られている?「彼より良いストライカーがいない」「代表で先発すべきではない」 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2022/10/08 17:02

「国民的なアイドル」C・ロナウド37歳は母国で今、どう見られている?「彼より良いストライカーがいない」「代表で先発すべきではない」<Number Web> photograph by Getty Images

サントス監督は冷静に、別のプランを考慮すべき

「ロナルドは国民的なアイドルだ。人々はいつまでも彼の最高の日々を覚えている。だから彼を客観的に見られるようになるまでには、まだまだ時間がかかるだろう。だがさまざまな要素を冷静に考慮すれば、サントシュは別のプランも用意すべきだ。特にベンフィカのゴンサロ・ラモシュには、一度くらいチャンスを与えるべきだよ」

 人々は英雄を好む。洋の東西や時代にかかわらず、それが人間というものなのだろう。37年前にモロッコの西に浮かぶ島で生まれたフットボーラーは、欧州最西端の国で比類なきアイドルとなった。信じがたい記録と数えきれないほどのタイトル、ポルトガル人らしい人懐こさとチャーミングなルックス、熱心な慈善事業や出自を忘れないピュアなハートによって、ロナウドはこの国で本当に多くの人に深く愛されている。

 代表ウィークが明けた10月最初の週末、マンチェスターで行われたダービーはシティの6-3の圧勝に終わり、ユナイテッドのロナウドはベンチで終了の笛を聞いた。この試合のマンオブザマッチは、今季のホームゲームで3試合連続ハットトリックを遂げ、リーグ新記録を打ち立てたシティの22歳の怪物、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランドだ。

ポルトガルでは、街に流れる空気と同じように…

 フットボールはとどまることがなく、今も世界のいたるところで若い才能が育まれている。医療や食事法、トレーニング法、テクノロジーなどの進歩によってベテランの息が長くなっているのは事実ながら、欧州のリーグの中でも特にインテンシティの高いプレミアリーグでは若いエネルギーの方が目立ち、他のリーグと比べて年嵩の選手が活躍する余地は少ない。リオネル・メッシ、ロベルト・レバンドフスキ、カリム・ベンゼマ、ロナウド、アンヘル・ディマリア、ルカ・モドリッチが現在の34歳以上のフィールドプレーヤーで最高の市場価値を持つ選手と評されているが、この中でプレミアリーグに所属しているのはロナウドだけだ(しかも最年長だ)。だからユナイテッドの彼は、もっとも競争の激しいリーグで必然的に起こる新しい世代との循環に直面しているだけとも言えまいか。

 けれどもここポルトガルでは、街に流れる空気──例えばスーパーのレジで15分くらい待つこともざら──と同じように、世代交代もゆったりとしか進まないのかもしれない。

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「C・ロナウド復帰はユナイテッド最大の過ち」今季初先発で大敗、先発外れるとマンUは4連勝…クリロナ37歳が直面する“不要論”

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