ぼくらのプロレス(再)入門BACK NUMBER
「アントニオ猪木と闘うことで有名になれた」“あぶれ者”だったスタン・ハンセンを覚醒させた“猪木の手腕”「感謝の気持ちを持ち続けている」
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph byEssei Hara
posted2022/10/06 17:07
長年にわたって日本のプロレス界で活躍したスタン・ハンセン。アントニオ猪木への思いなどを語った
「猪木に、今も感謝の気持ちを持ち続けているよ」
このようにして、新日本と全日本、両方でトップに立ったハンセン。そんな彼だからこそ語れるアントニオ猪木とジャイアント馬場の違いを聞いてみた。
「猪木と馬場は二人とも団体のエースであり、かつ社長でもあったが、ことリング以外では、まったく違うタイプの人間だった。猪木とは数えきれないほど試合をしたにも関わらず、じつはリング外で会話をしたことはほとんどない。ビジネスの話はすべてマネージャーの新間(寿)を通してであり、私との関係はリング上だけだった。だから、ブッチャーが移籍してきたときも猪木の真意がわからず、そこが不満でもあった。
それに対し馬場は完全なプロモーターであり、金銭面や今後の展開など、ビジネスのすべてを腹を割って話せる関係だった。だから自分が“ボス”と感じることができたのは、馬場の方だったんだ。今でも私は馬場というすばらしいボスの下で長い間働けたことを光栄に思っている。それと同時に、私に日本で活躍するきっかけを与えてくれた猪木に対して、今も感謝の気持ちを持ち続けているよ」
インタビューは9月下旬に行ったため、猪木さんの訃報に接した気持ちを直接聞くことはできなかったが、ハンセンは今も「恩人」アントニオ猪木に感謝の気持ちを確実に持ち続けているのである。
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