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フェリス卒“スターダムの貴婦人”桜井まいが内に秘めた狂気と変身願望「女子プロレス界のダース・ベイダーになりたい」《特別グラビア》
posted2022/10/07 17:03
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
女子プロレス団体・スターダムのドンナ・デル・モンド(DDM)に所属する桜井まいは、フェリス女学院大学卒という経歴からか、“リングの貴婦人”とも形容される。コズミック・エンジェルズ(コズエン)から自らの意思でユニットを変えて、半年以上が過ぎた。
「中野たむを超えます。コズエンの全員に勝ちたい」
DDMを率いるジュリアの優勝で10月1日に閉幕した『5★STAR GP』を、桜井はしみじみと振り返った。
「私のブロックは、どちらかというと体が大きいパワーファイターが多かった。目標は12戦で10勝することでしたが、結果は4勝。もちろん悔しいですよ。でも、予選から勝ち上がった私にとっては、大きい経験になりました」
桜井は「印象的な試合が多かった」というが、一番はコズエンのリーダー・中野たむ戦だったという。この試合は8月28日に浜松で行われた。
「一番緊張しました。ユニットを抜けてから初めてのシングルでの対戦でしたから。中野たむに対しての思いもあった。私はG(ジュリア)の遺伝子を出していきたかった。でも、中野たむの激しさには届かなかったな、という悔しさがあります」
中野はその試合で「何もしてあげられなくてごめんね」と語りかけると、タイガースープレックスホールドで桜井をフォールした。
「まだまだこんなもんじゃ負けない。私は中野たむを超えます。ウナギ・サヤカには勝ったけれど、白川未奈にも、とにかくコズエンの全員に勝ちたい」
コズエンの“未勝利レスラー”月山和香は桜井に特別な感情を抱いているが、桜井は月山をどう思っているのだろうか。
「月山は、勝利以外の部分では私より長けている。自分に足りないものを持っている選手だと思います。だから、そういう意味ではライバル。私はDDMに入って勝ちは増えているけれど、上に行ったとは思っていない。月山を気にしないようにしている部分は、たしかにあるかもしれない」
桜井は9月にNumberWebに掲載された月山のインタビュー記事を読んだという。その記事でも、月山は桜井への対抗心をあらわにしていた。
「月山は私と30回でもやりたいと言っていましたね。やりましょう。私は絶対負けませんから。私に勝つまで引退しないって? それだったら、月山は一生引退できませんよ(笑)。前の団体でも、つらいときには話し合っていた仲間ですけど、私は月山だけを見ているわけじゃない。その日の試合で一番印象に残る選手になりたいんです」