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大谷翔平の“味方投手からも”愛されすぎな日常…神救援には背中ポンポン、リリーフ陣が触れた“紳士な素顔”「必ず感謝してくれる」
posted2022/10/06 17:06
text by
斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph by
Getty Images
9月23日のツインズ戦、エンゼルス大谷翔平投手(28)はベンチで戦況を見つめていた。当日の気温は10度前後。体が冷えないよう、ジャンパーを羽織った。1点差で無死満塁。マウンド上では左腕アーロン・ループ投手(34)が懸命に腕を振っていた。
「ループさんに勝ちがついてもいいぐらいの展開だったと思いますし、難しいところではあったと思うので、さすがのピッチングだったと思います」
14勝目を挙げた試合後、大谷は少し頬を緩めて振り返った。
ループを、大谷は“背中ポンポン”でねぎらった
2点リードで迎えた6回、先頭打者に左前打を許し、四球を与えて無死一、二塁とピンチを広げた。5番の左打者ケーブに中前打を浴び、1点差とされると、6番サンチェスにはフルカウントから四球を与えた。内角へのカットボールは、ストライクゾーン内に入っていたが、判定はボール。大谷は頭を抱え、苦笑いの表情を浮かべた。無死満塁。小雨が降りしきり、コンディションが良くない状態で制球に苦しみ、球数100球で無念の交代となった。流れが相手に傾きかけた中で、窮地を救ってくれたのがループだった。
「おそらく、あれが今シーズン、一番いい登板だったと思う。僕はむしろ、ああいう状況で投げるのが好きなんだ。プレッシャーというかね、走者を背負いながら、自分の持っているもの全てを出すような状況がね」
昨年オフにエ軍と2年契約を結んだ34歳のベテラン左腕は、大ピンチで大谷を救ったシーンをうれしそうに振り返った。
最初の打者を内角球で見逃し三振に打ち取り、続く打者を二ゴロ併殺。無失点で切り抜けた。ベンチへ戻ると、駆けつけた大谷とハイタッチ。好救援に背中をポンポンとたたかれた。
ループ「彼がもう1度、MVPをとるのが見たいんだ」
今季、9月を終えた時点で0勝5敗、防御率3.92で、19ホールドを挙げながら4度、セーブに失敗した。開幕後の4月、10試合の登板で10回 2/3 を投げ、防御率0.84も、5月は11試合で防御率10.13と打ち込まれ、チーム大失速の一因にもなった。だが、後半戦は徐々に調子を取り戻し、9月は大谷の登板時に3度、リリーフで起用された。1ホールド、1セーブを挙げ、大谷の3勝に貢献した。
「彼がもう1度、MVPをとるのが見たいんだ。だから、僕が出来ることをやって彼を助けたいと思っていた。あの時(ツインズ戦)は、僕のベスト登板だったね」