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村上宗隆56号+最年少22歳三冠王「さらに大きな選手に」、落合博満「練習したヤツには絶対…」最強打者の“超メンタル術”
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
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posted2022/10/04 11:02
バース、村上宗隆、落合博満……。三冠王に輝いた強打者たちの打撃論はやはり、確固たるものがある
82年、一度目の三冠王については王や野村ら過去の選手に比べると各項目の数字がやや低かったため、“最低の三冠王”との心ない批判があったというが、85、86年には圧倒的な数字を残し、文字通り結果で雑音を封じた。さらに信子夫人とは「三冠王を5回獲る」との約束をしていたというのだから……。
冒頭の発言は、FAで中日から巨人に移籍した落合と、プロ入り2年目を迎える松井秀喜との対談が報知新聞紙上で実現した時のエピソードだ。非常に重要な取材の場だったが、松井がまさかの遅刻をしてしまう。
しかしこれに対して落合は特に怒るわけではなかった。しかしそこからは自らの野球論について「オレは練習が嫌いだとは言うけど、練習をしなかったとはひとことも言ってない」など、プロフェッショナルとは何たるかを滔々と語ったという。その練習量への自負があったからこそ、三冠王3回の栄光を手にすることができたのだろう。
「巨人最強神話」を打ち砕いたバース
<名言6>
まるで自分がホームランを打ったかのように喜んだよ。さすがに僕もこんな経験は過去になかったからね。だって、あの巨人から3連発だぜ!
(ランディ・バース/Number626号 2005年4月21日発売)
◇解説◇
〈1985年:打率.350 54本塁打134打点〉
〈1986年:打率.389 47本塁打109打点〉
85年、バースと阪神は球団史に残る伝説を作った。4月17日、3番・バース、4番・掛布、5番・岡田の「バックスクリーン3連発」である。当事者であるバースはこうも振り返る。
「あれからたくさんのホームランを打ったし、三冠王にも輝いたけど、あれほど重要なゲームはなかったと思う。なぜかって? あの試合で僕らの中の『巨人最強神話』が崩壊したからなんだよ」
開幕当初、バースは不調にあえいでいた。しかしこのバックスクリーン3連発以降はその打棒が本格化。「ニューダイナマイト打線」と称された強力打撃陣を形成し、チームはリーグ制覇を果たし、バースも三冠王を獲得。そして球団唯一の日本一へと駆け上がっていった。翌年も三冠王を獲得したバース。シーズン打率.389はNPB史上最高で、最も4割打者に近づいた強打者でもあった。
村上が開幕前に宣言した「さらに大きな選手」
<名言7>
これから先、さらに大きな選手になりたいです。
(村上宗隆/Number1047号 2022年3月17日発売)
◇解説◇
〈2022年:打率.318 56本塁打134打点〉
令和初の三冠王の座を手に入れたのは、ヤクルト・村上宗隆だった。