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村上宗隆18歳のフリー打撃に「なんじゃ、この打者」通算403発・山崎武司が「理解できない」と絶賛の本塁打…“39歳の村上”も楽しみなワケ
text by
間淳Jun Aida
photograph byHideki Sugiyama
posted2022/09/15 11:01
22歳にして風格漂う村上宗隆。セパ本塁打王を獲得した山崎武司氏から見ても“別次元”のようだ
今シーズンの村上はスタンスを広く取り、予備動作を最小限に抑えてスイングしているという。毎年安定して高打率を残しているオリックスの吉田正尚外野手を例に挙げ「吉田選手ほどではありませんが、村上選手も予備動作をしないでバットを振っています。小さい動きに見えるかもしれませんが、村上選手にとっては十分タイミングが取れて、ボールを遠くにも飛ばせます」と分析する。
村上は2004年のダイエー・松中信彦氏以来、18年ぶりの三冠王へ着実に近づいている。史上最年少でのシーズン50号を達成し、どこまで本塁打数を伸ばせるのか周囲の熱は高まっている。しかしながら、山崎氏の関心は、もっと先に向けられていた。
「今の状態をどれだけ長く続けられるのか楽しみです。高卒5年目でホームラン150本。同じ条件でプロに入ったのに、自分は5年間で1本ですから。ただ、村上選手が39歳になった時に、自分と同じように43本打てるのか、41歳で100打点を超えられるのかは分かりませんから」
選手が“最初の壁”を感じる30歳頃にどうなるか
山崎氏は、どんな選手でも体の変化や年齢による衰えは避けられないと強調する。
村上の現在の打ち方を見て「あれだけスタンスが広くて、体がよく回るなと感じています。技術の高さや体の柔らかさがあるからできることだと思いますが、年を取ると体は回らなくなります」と語る。
今までできていた動きができなくなった時、何かを変えなければ成績の下降は免れない。山崎氏は、次に訪れる壁を村上がどのように乗り越えるのかに楽しみや期待を膨らませている。
「パワーが落ちたり、反応が悪くなったりした時に、村上選手はどんな対応をするのか。一般的なプロ野球選手が最初の壁を感じる30歳頃に村上選手にも衰えが生まれるのか、それとも超人ぶりは変わらないのか見てみたいですね。まだ高卒5年目なので心配する必要はありませんし、しばらくは好成績を残していくと思いますが」
弱点が露呈するのは5年後、10年後なのか。セ・パ両リーグでホームラン王を獲得した評論家が打撃の分析や弱点の指摘に悩むほど、今の村上は異次元の領域にいる。
第3回では、村上や大谷翔平など、現代のスラッガーと山崎氏の頃の長距離砲の違いについて語ってもらった。<#3につづく>
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