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村上宗隆18歳のフリー打撃に「なんじゃ、この打者」通算403発・山崎武司が「理解できない」と絶賛の本塁打…“39歳の村上”も楽しみなワケ 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byHideki Sugiyama

posted2022/09/15 11:01

村上宗隆18歳のフリー打撃に「なんじゃ、この打者」通算403発・山崎武司が「理解できない」と絶賛の本塁打…“39歳の村上”も楽しみなワケ<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

22歳にして風格漂う村上宗隆。セパ本塁打王を獲得した山崎武司氏から見ても“別次元”のようだ

 8月2日に中日・柳裕也投手から放った1本。プロ野球新記録となる5打席連続ホームランを達成した打球だ。

 村上はフルカウントから、外角のチェンジアップを左中間スタンドに運んでいる。山崎氏は、こう話す。

「タイミングを外されながらも、軸足で粘って最後まで体重を残して、バットを前でさばいてホームランにしました。崩された時にバットの先に引っ掛けて、左打者がライト方向へホームランを打つことはありますが、逆方向へのホームランは考えられません。村上選手の技術が詰まった1本で、なかなか他の選手にはできません」

“勝負を避けられても構わない”と思っているのでは

 この1本には、さらにすごさがあるという。村上は前の打席、柳が投じた109キロのカーブにタイミングを合わせて神宮のライトスタンド上段に叩き込んでいる。山崎氏が解説する。

「村上選手は緩いカーブを狙っていたかのように捉えました。待っていたわけでもないのに、体を止めて反応しています。打者は必ず前の打席との関連性をイメージして、打席に立っています。カーブを完璧に捉えた次の打席では、速い球で攻められると予測しているはずなのに、タイミングを外す外角のチェンジアップを左中間へホームランにしたわけです」

 ミスショットが少なく、バットの芯で捉えたホームランが多い村上。ホームランの数以上に、確実性の高さが顕著に表れているのが打率だ。疲れが出るはずのシーズン終盤に急上昇させ、打率でもリーグトップに立っている。

 山崎氏は初めてホームラン王を獲得した1996年、打率もリーグ4位の.322と結果を残した。だが、それ以降は、20本以上のホームランと打率3割を同時にクリアしたシーズンはなかった。長打力と確実性を両立させる難しさを経験から知っている。だからこそ、今シーズンの村上を「遠くの人」と表現する。山崎氏は村上が高打率を記録している要因に「打席での割り切り」を挙げている。

「勝負を避けられても構わないというスタンスで打席に入っているように見えます。勝負してきたらホームランにするが、四球でもいいという割り切りができています。ホームラン数が増えると打ちたい気持ちが前に出て、ボール球に手を出し始めて調子を落としてしまうのが、多くの打者に言える悪いパターンです。技術はもちろん、打席での考え方や揺るぎない信念が、今シーズンの成績につながっていると思います」

村上選手も予備動作をしないでバットを振っています

 技術的な進化には、テイクバックの変化を指摘する。

【次ページ】 村上選手が39歳になった時に…

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