男子代表と女子代表のレポートはそれぞれ、「大会結果」「日本代表のプランと準備について」「日本の戦い−オフェンス」「日本の戦い−ディフェンス」と、同じ章立てで構成されている。3x3は東京五輪で初めて採用された競技ということや、5人制との違いもあるため、結果と戦いのほかに「東京2020オリンピックへの道」「3x3のルールと特性」「ゲームコーチング」という章が加えられている。

　冨山が担当した男子代表のレポートは特に内容が濃い。たとえばオフェンスの章のアーリーオフェンスの項目では、プレーごとのPPP（points per possession＝攻撃回あたりの得点）の表がまとめられていたり、フォーメーションのプレーチャートまで添えられている。オフェンスリバウンドについては、チームとしての考え方と攻撃状況に応じてのルールも図入りで解説している。

　ディフェンスの章の中でも、ヘルプディフェンスの位置や、ピック＆ロールに対する守り方を仔細に説明しているほか、対戦相手ごとのスカウティングの詳細も記載。これだけ手のうちを記録して明かしたのは、男子代表のヘッドコーチを務めていたフリオ・ラマスコーチが大会後に退任し、コーチから引退したことも関係しているという。

「ラマスさん自身も、去年のコーチクリニックやコーチカンファレンスで自分たちがやったものをオープンにしていたんですよね。特に隠したいという要望もなかったですし、代表チームとしても、トムさんが男子代表として新しいバスケットボールを始めている中で、わざわざフォーメーションを隠さないといけないっていうことはないんじゃないかっていうのがありました」と冨山は説明する。

「テクニカルレポート2021」の抜粋（JBA公式ホームページより）

　一方、女子代表については、同じく大会後にヘッドコーチが交代したが、女子代表HCだったホーバスが男子代表の新HCに就き、同じような戦術も用いるため、戦術の情報公開を若干抑えたという。男子代表のほうが女子代表よりページ数が多くなったのには、そういった配慮もあった。

「結果」だけではなく「準備」も詳細に残す

　さらに、大会に向けてどれだけ準備をしたかというところも詳細に記載されている。

　冨山は言う。

「今回、どういう準備をしたかっていうところもけっこう細かく書いています。日本代表はバスケットボールに携わっているすべての人の代表として戦っているわけじゃないですか。なので、その代表チームの人たちがどういうプランで、どういった準備をして大会に臨んだかということも知れる中身になっています。特にディフェンスの練習については、こんなプランで、こういうディフェンスのコンセプトで準備したというところまで書いています。これが正解というわけではなく、こういうチームの作り方もあるのかといったことを感じとってもらえるのではないかなと思います」

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