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「じつは巨人が最下位」「阪神2位、DeNA1位」それでも…なぜ誰もヤクルトを止められないのか? 村上宗隆“衝撃の2カ月間”をまとめてみた
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySankei Shimbun
posted2022/09/11 17:02
9月9日の広島戦で、野村克也・落合博満超えとなる53号ホームランを放った村上宗隆(22歳)
他球団が苦しむなか、8月の戦いは見事だった。特に16日からの巨人、広島、そして阪神を相手にしての8連勝は投打のバランスが噛み合った素晴らしい戦いぶりだった。投手では今永昇太、大貫晋一がローテーションの柱となり、ブルペンもエスコバー、伊勢大夢、山崎康晃の3人が締めくくる「方程式」も完成した。
唯一、誤算だったのは8月26日からのヤクルト戦だっただろう。このカードに入るまで8勝2敗と好調を維持し、首位ヤクルトとのゲーム差は4。3連勝すればゲーム差は1に縮まる――という期待を集める状況で、3連敗を喫してしまった。得失点でも11―27、村上には11打数9安打、4本塁打、9打点を献上し、お手上げの状態だった。
DeNAにとって厳しい現実を突きつけられたといえるが、9月に入ってからも失速気味なのが気になる。2勝5敗、9月2日からの広島戦では3連続完封負け。7日の巨人戦では3対18と大敗を喫している。
16日からは10連戦が待ち構えるが、8月の勢いを取り戻せるかどうか、チームの真価が問われる。
【3位】阪神「痛かった近本&大山の離脱」
阪神はコロナ禍の2カ月間で貯金3を作っている。8月9日から17日まで8連敗を喫しているにもかかわらず、貯金を作っているのは立派だ。しかし、より勝ち星を重ねることが出来たのではないか、と思わざるを得ない。
痛かったのは近本光司、大山悠輔と中軸を打っていた打者がそろって離脱したことだった。
大山が8月5日に登録抹消されると、近本は10日に抹消。ふたりが揃わなかったこの時期、阪神は9日からのDeNA戦、続く中日戦、ヤクルト戦で8連敗を喫してしまう。8連敗中の得点はわずか12で、完封負けが3度もあった。
主軸打者が欠けたことによって打線のバランスが崩れ、得点生産力が落ちてしまったのである。たとえば8月12日に完封負けを喫した中日戦では3番ロドリゲス、4番佐藤輝明、5番が陽川尚将の3人。矢野燿大監督も苦心の打線を組んでいたが、近本の.400前後の出塁率と、大山の長打率を欠いた打線は持ちこたえられなかった。
さて、9月に入って3位争いが激しくなっているが、阪神にとってのプラス材料は得失点のバランスが常にいいこと。それを支えているのは投手陣なのだが、9月のラストストレッチに得点の生産能力をいかにして上げていくかが勝負となる。
【4位】広島「阪神と4試合残している」
広島もしぶとく3位をうかがっているが、7月から8月にコロナ禍の影響を長く受けた球団といえる。