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かつて「親バカ采配」批判も…“ノムさんの息子”野村克則52歳の今「首位阪神の名コーチに」「20年間コーチ業…原点は父・野村克也との“最後の1年”」
posted2025/08/07 11:03
NumberWebのインタビューに応じた野村克則氏(52歳)。現在、阪神タイガースで一軍バッテリーコーチをつとめる
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
NumberWeb
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父子が過ごした「現役最後の1年」
<2004年、巨人にトレードされた克則。その年は出場3試合に終わり、オフに戦力外通告を受けた。巨人からは二軍バッテリーコーチ就任の打診があり、それを聞いた父は引退を勧めたが、克則は現役続行に賭ける。>
「相当迷いましたが、あのタイミングでちょうど楽天球団が出来たんです。キャッチャーならば重宝されるのではないかという期待もあってトライアウトを受けることにしました。もし楽天が出来ていなければ巨人のコーチを受けていたかもしれない」
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克則はトライアウトのシート打撃で2本のホームランを放ち、その姿が楽天の初代指揮官・田尾安志監督の目にとまった。年俸800万円で、楽天の創設メンバーとして入団。運命の選択は1年後、三度父子で同じユニフォームを着るという妙縁を引き寄せることになり、2006年楽天・野村克也監督のもとで克則は現役最後の1年を過ごした。
「もし2004年に巨人で引退していたら、その後楽天で一緒にやることもなかったのだから不思議ですよね。野村監督のもとで選手生活を終え、その後コーチの勉強もさせてもらった。親父が亡くなったいま振り返ると、野村監督の下でやらせてもらった時間は全て財産だったなと思います。
最初の頃は本当に、一緒のチームでやるというのは自分の中で苦しい思いの方が強かったんですけど……。でも結果的に色々な勉強をさせてもらって、それが今の自分のベースになっている。思えば、父と子の時間は家よりグラウンドの方が断然長かったんです。男親って家にあまりいないですから。そう考えると、貴重な時間を過ごせたと思います」
「やっぱりスゴい人だったんだな…」
忘れられない光景がある。2009年10月24日、そのシーズン限りで退任が決まっていた楽天・野村監督のラストタクト。クライマックス・シリーズ第2ステージで日本ハムに敗れて日本シリーズ出場が潰えると、74歳の指揮官のもとに両チームの選手が集まってきた。

