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アルシンド「日本は僕にとって第二の故郷」“鹿島→ヴェルディ禁断移籍”のウラ話、J2甲府加入の息子を“100%本音”で語る
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byHiroaki Sawada
posted2022/09/07 17:02
休日は趣味のサイクリングに精を出すというアルシンド(54歳)。日本サッカーへの愛は未だに絶大だ
「性格は、僕より少し物静かかな(笑)。テクニックは、僕よりあるよ。年齢的に、今が最も油が乗り切っている。香港、中国でも頑張っていたし、甲府では必ず活躍するよ」
——現役引退後も、日本との縁は続いているようですね?
「新型コロナウイルスの感染が拡大する2020年初めまでは、毎年のように日本へ行っていた。ブラジルでも、2014年にブラジリアの日本大使館で表彰してもらった(注:2015年の日伯修好通商航海条約120周年を控えた2014年8月、日本大使館で「サッカー感謝の集い」が開かれ、ジーコらと共に招かれて表彰された)。アベさん(安倍晋三首相=当時)とも少し話をしたよ。とても光栄だった。
日本は、僕にとって第二の故郷。また以前のように頻繁に日本へ行って、かつて在籍したクラブの関係者、友人、ファンに会いたいね」
日本のフットボールの発展は、僕にとっても嬉しい
——最近もJリーグや日本代表の試合を見ていますか?
「ブラジルではJリーグのテレビ中継がないんだけど、鹿島などの順位はいつも気にしている。日本代表の試合は、ブラジルでテレビ中継があればできるだけ見ている」
——あなたがJリーグでプレーしていた1990年代から現在に至る日本のフットボールをどう眺めていますか?
「僕が日本にいた数年間だけでも非常に進歩したし、その後も着実に進歩、発展している。選手育成が成功しており、その証拠に欧州クラブで大勢の日本人選手がプレーしている。
日本のフットボールの発展は、僕にとっても嬉しいし誇らしい。日本は、僕にとって第二の故郷だからね」
——W杯カタール大会で、日本代表はドイツ代表、スペイン代表という強豪と同組となりました。
「厳しいグループに入ったと思うけど、自分たちの力を信じて積極的にプレーしてほしい。日本代表なら、きっと良い結果を残せるよ!」
農場内にはフットボールコートもあるそうだ
体つきが丸くなった。頭は中央がすっかり薄くなり、側頭部も短くなっている。しかし、明るい性格は全く変わらない。
農場内にはフットボールコートもあり、友人とボールを蹴ることもあるそうだ。農場の周辺を自転車で走るのも趣味だそうで、田舎暮らしを満喫しているようだ。
一方、イゴールは29歳で、選手としては正念場だ。ヴァンフォーレ甲府との契約は、来年1月末までの半年足らず。すぐにでも結果を出さなければならない。
アルシンドがJリーグでプレーしたのは4年余りで、日本を離れてからすでに25年の歳月が流れている。それでも、彼が残したインパクトは強烈で、今なお多くの人々の記憶に残っている。その一方で、彼の方も日本のことを忘れていなかった。
はたして、イゴールは甲府で「アルシンドの息子」という呼び名を取り払って「彼の父がアルシンド」と言わせるような活躍ができるだろうか。
<#1からつづく>