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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
《トモダチナラ、アタリマエ~》J伝説の外国人アルシンド54歳は今どうなった?「350ヘクタールあるぞ(笑)」「苦労させられたDFは…」
posted2022/09/07 17:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Kazuaki Nishiyama
アルシンド・サルトーリ。Jリーグ創設直後の1990年代前半から中盤にかけて、レジェンド・ジーコが舞い降りた鹿島アントラーズなどで強烈な光を放った。
圧倒的なスピードを生かした突破力とずば抜けた決定力をいかんなく発揮。のみならず、底抜けに明るい性格と、長髪でありながら頭頂が薄い、という日本ではまずありえない(まあブラジルでも珍しいが)ヘアースタイルで総合毛髪企業のCMに頻繁に出演。「トモダチナラ、アタリマエ~」、「アルシンドニ、ナッチャウヨ!」の決めゼリフで人気者になった。ヴェルディ川崎、コンサドーレ札幌でもプレーした。
今年10月で、55歳になる。長男イゴール(29)もプロ選手で、2011年に鹿島に在籍した後、ブラジル、中国のクラブを経て8月初め、ヴァンフォーレ甲府(J2)に加入した。
現在はブラジルで大農場主となって悠々自適の生活を送っており、頭髪は側面が残るだけとなったアルシンドに、現役時代のこと、息子のこと、引退後の生活ぶりなどについて聞いた。
フットボールの世界はあまりにも節操がない。だから…
——大きな農場を経営しているそうですね。
「ブラジル南部のサン・ミゲール・ド・イグアス(注:アルゼンチン国境にまたがる世界最大の滝で世界遺産のイグアスの滝から北東へ40km余りの地点にある人口3万人弱の農業都市)にあるんだ。
広さが350ヘクタール(注:東京ドームの約75倍)あるぞ。すごいだろ(笑)。従業員が5人おり、大型機械を駆使して大豆とトウモロコシを栽培している。これらの農産物を国内外に販売する会社の共同経営者でもある」
——現役引退後、フットボールの世界で働くことは考えなかったのですか?
「少し考えたこともある。2015年にフォス・カタラタスという女子チームの監督を務め、コパ・ド・ブラジルで3位に食い込んだ。
でも、フットボールの世界はあまりにも節操がない。常に勝利を求められ、少し負けが続いたらすぐに首を切られるから、ストレスが溜まる。
僕は南部の出身で、元々いた所へ戻ってきただけ。田舎で朝日と共に起き、体を動かして働く健康的な生活をする方が性に合う」
——どのような経緯でプロ選手になったのですか?