【3】海星高・西村陽斗捕手「こんないいキャッチャーが…」

　そんな長崎の海星投手陣をリードしながら、毎回のようにやって来たピンチに、打者の裏をかいた配球で最小失点に抑えた西村陽斗捕手（3年・175cm77kg・右投右打）。

　こんないいキャッチャーがいたんだ……これだから、やっぱり甲子園は深い。

　最初にオッと思ったのは、バチッ！と聞こえてくる向井投手の「カーブの捕球音」だ。タテのカーブは、ミットのスイートスポットで、頃合いの強さで握らないと、「あの音」は決して出ない。技術を持っている。

　ショートバウンドのスライダーも、さりげなくミットで吸収するように捕球。捕球が横に逸れても、まず走者を目で殺しておいて、動きを捉えながらボールを取りにいく。キャッチングセンス抜群だ。

海星高（長崎）の西村陽斗捕手（3年・175cm77kg・右投右打）。筆者は「カーブの捕球音」でオッと思ったという　©KYODO

　イニング頭の投球練習後の二塁送球。1.8秒台でベースの上にストライクスロー。これを続けたら、超高校級のスローイング能力。投手に対しても、終始トップで右手の高さをキープしながら、腕の振りのしなりだけで柔らかく返球する。この感覚もじつにいい。

　センターから右方向に、しっかりミートポイントを作って振り抜き、4安打を放った1戦目の日本文理戦。最後の5打席目まで、根気強く「意図」がはっきりわかるバッティングを全うしてみせた。

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　後編は「野手編」。この夏の逸材4人をお伝えしようと思う。

＜続く＞