最少失点に抑えようと先発のマウンドに立った岡部投手は、外角の出し入れで勝機を得ようとした。直球も変化球も外角に集め、外に逃げるスライダーで打ち取る狙いだった。ところが、出鼻をくじかれる。先頭打者の伊藤選手は際どいコースに手を出さない。カウント2ボール2ストライクから2球連続で外角高めのスライダーを見極められ、フォアボールを許す。

　3番・松尾選手もセンターフライに打ち取ったものの、外角のボール球をスイングしなかった。そして、より厳しいコースを突かなければいけない、ストライクがほしいという心理が働いて思うようにコントロールできず、ストライクとボールがはっきりしてしまう。4番・丸山一喜選手と5番・海老根優大選手に変化球を捉えられ、連続タイムリーでいきなり2点を失った。

松尾、丸山、海老根が並ぶクリーンアップは超高校級だ（センバツ時）　©Nanae Suzuki

全てで相手が上でした。長打で得点するだけではなく…

　岡部は次の手を打った。

　9回2失点で完投勝利した1回戦の能代松陽戦ではほとんど見せなかったチェンジアップの割合を増やし、相手打者のタイミングを外そうと試みる。しかし、これも通用せず、成す術がなくなった。

「全てで相手が上でした。長打で得点するだけではなく、単打でもつないでくるところに強さを感じました。ボールの見極めも上手く、ファウルで粘られました。1人1人が場面に応じた役割を果たすところもすごかったです」

　厳しい地方大会を勝ち抜いたチームは、大阪桐蔭の壁を越えなければ、日本一になれないと認識している。研究して対策を練る。それでも、想像を超える強さを見せつけられている。次の挑戦者は、二松学舎大付属。立ちはだかる巨大な壁に、どんな方法で挑むのだろうか。

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