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あの5打席連続敬遠から30年…星稜・松井秀喜から逃げなかった3人の高校生が明かす“真っ向勝負”「監督が敬遠しろって言ってます」
posted2022/08/15 17:02
![あの5打席連続敬遠から30年…星稜・松井秀喜から逃げなかった3人の高校生が明かす“真っ向勝負”「監督が敬遠しろって言ってます」<Number Web> photograph by Koji Asakura](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/c/1500wm/img_3cc7fc3acc39dcc6fa786ca9ef214d08331447.jpg)
あの5打席連続敬遠が起こる前、星稜・松井秀喜に挑んだ3人のピッチャーが30年前の真っ向勝負を振り返った
text by
![日比野恭三](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/b/-/img_1be67d269859b525ac8f5c3e2dede8486826.jpg)
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Koji Asakura
彫像のように立っていた。ヘルメットのつばの奥、鋭い視線は微動だにしない。
1992年7月28日、星稜高校3年生の松井秀喜に凝視されているのは、石川県立工業高校のエース、葛城武だ。
奇しくも25年後の同じ日付に現れた取材者に質問を重ねられ、遠い過去は閃光のように瞬時よみがえる。
はじめての対戦は2年秋だった。2-11の完敗は「むちゃくちゃに負けました」の感想として脳の奥に残っている。
浴びた痛打のどれが松井によるものなのかは判然としない。ただ悔しくて、スライダーの習得に励んだ記憶は鮮明だ。
57年ぶりの甲子園を予感させたエースの登場
葛城は右の本格派投手だった。「そんな速くないですよ」との本人の謙遜を、高校時代の同級生だという傍らの妻が補う。