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オリンピックへの道BACK NUMBER
解説者で振付師で研究者、町田樹が出演冠番組の企画と構成まで行っていた!「一見するとマルチタレントのようかもしれないが、そうではない」
posted2022/08/08 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto
現役時代は2014年ソチ五輪で5位、世界選手権銀メダルを獲得し、“氷上の哲学者”と称された町田樹。今年2月の北京五輪ではフィギュアスケート競技の解説も務め、丁寧な語り口に注目が集まった。その町田が引退後の2020年から企画・構成・演出を行う冠番組があるのをご存知だろうか。本記事では自身のこだわりを詰め込んだ冠番組と解説・キャスター業について話を聞いた。<全2回の1回目/第2回は#2へ>
2014年の引退後、町田樹はプロスケーターとなった。一方でスポーツ科学の研究の道に進み、現在は国学院大学で助教を務めている。さらには振り付けの活動も行い、北京五輪をはじめ数々の中継で解説を務めた。
アスリートは引退した後、それぞれにセカンドキャリアを歩んでいくが、これほど多彩な顔を持つケースは少ない。2018年のプロスケーター引退後も「マルチタレント」のようにさまざまな活動をする町田だが、それを可能にしているのは、まさに町田樹だからこその理由があった。
『学術×スポーツ』という新しいスポーツ番組
それを知る糸口となったのは、冠番組『町田樹のスポーツアカデミア』(Jスポーツ)だ。2020年にスタートし、今年で3シーズン目。しかも出演だけにとどまらず、企画・構成まで手がけている。
放送局から依頼を受けた段階では「フィギュアスケートにテーマを絞った番組」だったという。ただ、すでにフィギュアスケートの番組は同局にあることを調べた上で、むしろ「もっとやるべきことがある」と別の番組企画を町田は提案した。
「早稲田の大学院時代に5年勉強しましたが、その過程を通じてスポーツ界には学術的に検討しなければいけない課題がたくさんあると思いました。『学術×スポーツ』として新しいスポーツ番組をつくれるのではないか、スポーツ界の社会問題をアカデミックに取り上げたいと提案しました」
承諾を得ると、番組の特集企画の方向性を3つに定めた。