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「1年では終えたくないなぁ」女子バスケ町田瑠唯(29)が振り返る米初挑戦…成長の理由は“簡単に満足しない”メンタル?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2022/08/03 11:04
WNBAプレイオフ進出を決め、ワシントン・ミスティックスでの3カ月を振り返った町田瑠唯(29歳)
WNBAは早くもレギュラーシーズン終盤に差し掛かっている。6月下旬には「迷いがある」と明かしていた町田だが、その後、少しずつどんなプレーをすればいいのかをつかんできたように見える。
「迷い」を口にしていたときは、3ポイントショットを決めなくてはいけないというプレッシャーを常に感じているように見えた。苦手なことを克服しなくてはいけないと考えるあまりに、ほかのプレーでのアグレッシブさも消えていた。それが、7月に入った頃から少しずつ自分のリズムを取り戻してきた。
「今はあいたら3ポイントを打ちますけれど、ファーストオプションとして3ポイントを打つことはやっていないです。それがチームの流れでないときもあるので。自分が今課題にしていることを前面に出してしまうと、チームのリズムだったり、チームとしていい流れを作れないので、そこはしっかり判断して、あくまでもチームのペースを変えたり、チームのリズムをよくすることを第一に考えてやっています。自分の役割や得意なことをまず出して、それにプラスして(外からの)シュートも打っていけたらいいかなと切り替えました」
チームメイトも賞賛した町田らしさ
たとえば、スピードや緩急を生かしてインサイドにドライブインする。町田のスピードに対応できる選手は、WNBAといえど、ほとんどいない。別のディフェンスがカバーに寄ってきたら、オープンになっている味方にパスを出す。消極的な待ちの姿勢で3ポイントを打つより、ずっと町田らしいプレーだ。自分らしさを出すことで、チームにいい流れを作り出すこともできる。
7月6日のアトランタ・ドリーム戦も、町田のそんな持ち味が出た試合だった。得点は2点だけで、3ポイントも決められなかったが、積極的にインサイドにドライブインをしかけ、レイアップを決めたかと思うと、ゴール下で味方へのアシストを出してチームに流れを引き寄せるきっかけを作った。
試合が終わった直後、チームメイトのエレナ・デレダンとナターシャ・クラウドが町田に何やら話しながらハグし、頭を撫で、ハイファイブしていた。英語でのコミュニケーションが取れない町田に対して、笑顔とジェスチャーで伝えようとしていた。
試合後の会見で、デレダンがその時に話していた内容を明かした。
「ルイが(英語を)理解してくれたかわからないけれど、きょうのプレーがよかったと伝えたかった。とてもいいペースで、しかも落ち着いてプレーしていた。切り込む味方を見つけたり、試合のスピードを上げ、必要なときに中に攻め込んでいた。彼女が出ていた時間帯は私たちにとってとても重要だった。言葉を理解してくれたかはわからないけれど、笑顔でわかってくれたかな」
そうやってチームメイトから認められ、称賛されることほど嬉しいことはないのではないかと振ると、町田は、また完璧主義者の顔を見せた。