Jをめぐる冒険BACK NUMBER
日本代表生き残りへ“E-1ラストチャンスを生かした5人”とは? 3ゴールの相馬勇紀、最大の発見・町野修斗と“化けそうなマリノス勢”
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byEtsuo Hara/Getty Images
posted2022/07/28 11:08
E-1で目立った相馬勇紀や町野修斗、海外組を含めても常連の谷口彰悟や山根視来……彼ら国内組が日本代表を突き上げられるか
試合後には「潰せるシーンはあったんですけど、取り切れないシーンも多くあった」などと反省の弁が少なくなかったが、それはすべて伸びしろでしかない。今回の日韓戦に臨むようなテンションと準備で、今後の全試合に向かえば、成長スピードはより一層早まるはずだ。カタールW杯出場を狙うのはもちろんだが、パリ五輪代表チームのキャプテンとして今回の経験をチームに還元し、同世代の選手たちを引っ張っていってもらいたい。
大会のMVP相馬が東京五輪世代の競争をアツくする
★相馬勇紀★
名古屋グランパス/左サイドハーフ
1997年2月25日生まれ
今大会:3試合出場3得点
今大会に懸ける思いの強さは香港戦のファーストプレーから伝わってきた。キックオフ直後、対面の選手に鋭く襲い掛かってボールを奪い、攻撃へと繋げたのだ。その香港戦では直接FKとヒールキックでゴールを奪い、韓国戦では本人も「珍しい」と語るヘディングでのシュートを決めた。さらに、縦パスやセットプレーからアシストをマークし、守備でもハードワークを敢行するなど、獅子奮迅の活躍を見せた。大会MVPとなったことに異論を唱える者はいないだろう。
今大会を迎える前、相馬は「6月のキリンチャレンジカップとキリンカップの4試合をテレビで見て、去年の夏に(東京五輪で)一緒に戦った仲間たちが活躍する姿を見て、心に来るものがあった」と語っていた。三笘薫、田中碧、堂安律、久保建英……と挙げればキリがないほどに、東京五輪のメンバーが今、A代表のピッチに立っている。刺激を受けないはずがない。すでに世界を相手にした真剣勝負を経験しているだけに、意識の高さという面でも頭ひとつ抜け出しているように感じられた。
結果を残した西村には大化けしそうな雰囲気が
★西村拓真★
横浜F・マリノス/トップ下
1996年10月22日生まれ
今大会:3試合出場2得点
ポジションはトップ下だったが、役割としてはセカンドトップに近かった。1トップの町野修斗の近くを衛星的に動いて連係を意識しながら、シャドーストライカーとして飛び出し、相手にとって危険な存在となった。「町野とも、自分は下で動き回るのが得意ということを伝えていて、いい関係を築けたと思う」と西村自身も手応えを滲ませた。ボール非保持においても、町野と横並びでブロックを組んだり、縦関係になって相手のアンカーを消したりと、守備のタスクでも綻びは少なかった。
だが、最大のアピールは、やはり結果を残したことだろう。香港戦での2ゴールは左右両足で決めたが、いずれもコースを正確に突いたファインゴール。韓国戦の3点目の場面で、小池龍太に出したワンタッチの浮き球パスも鮮やかだった。過去にはロシア、ポルトガルでプレーしたものの通用しないことが多く、帰国を余儀なくされた経験がある。今、活躍する横浜F・マリノスでは「これまでのサッカー人生で初めての経験が多く、毎日が新鮮で充実した日々を送れている」と成長を実感しているという。プレーヤーとしては完成されていないが、そういう意味で、西村の魅力は、ここから大化けしそうなところかもしれない。