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「松井、本当に王さんになったな」“5打席連続敬遠”の敗北後、星稜・山下監督は宿舎で松井秀喜をほめていた「すばらしい態度だったぞ。ありがとう!」 

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石黒謙吾

石黒謙吾Kengo Ishiguro

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/08/16 06:02

「松井、本当に王さんになったな」“5打席連続敬遠”の敗北後、星稜・山下監督は宿舎で松井秀喜をほめていた「すばらしい態度だったぞ。ありがとう!」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

30年前の1992年8月16日、明徳義塾戦で星稜・松井秀喜は5打席連続で敬遠策を取られ、チームも敗れた。当時の監督、山下智茂に話を聞くと…

 松井の5敬遠から10年後、夏の甲子園で明徳は初優勝を遂げた。自身が38年がかりで成しえなかった日本一を手にした馬淵監督に、山下監督は祝福の電話をかけたという。

「おめでとうございます! これまで苦しかったでしょう。でも、馬淵さんの野球も変わりましたよね。バント、バントという高校野球の原点に帰った時に、日本一ってあるんですね。そう言うと、『ありがとう。松井からも電話かかってきてなあ』って、すごく喜んでました。馬淵さんはあの試合を振り返って、『俺も若かったな。山下さん、今だったらできないよ』って冗談めかして言ってますよ。彼のことは素晴らしい監督として尊敬してます。だから、恨みがましい気持ちは全くない。ただ、あの試合そのものについて、触れたくないだけなんです。甲子園というすばらしい大舞台で、醜さというかな、そういう部分が出てしまったのが、どうにも悔しくてね」

明徳の選手たちが今、幸せな人生歩んでるといいな

 山下野球のモットーは、“人間形成の野球学”。選手たちには「人生の勝利者になれ」と、事あるごとに言い続けてきた。

「高校野球は高校3年、大学でやっても4年で終わる。40歳、50歳になった時が勝負。そういう野球やろうな、と。だから考えるのは、あの試合の明徳の選手たちのこと。今、幸せな人生歩んでるといいな、と思うんです」

 闘将はそう言って、柔和な笑みを見せた。

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松井5打席連続敬遠の明徳義塾戦で敗退、星稜・山下智茂監督の頭にあった幻の”勝利の方程式”「馬淵さんは策士、すごく警戒はしてました」

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