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村上宗隆19歳「今はチャンスをもらっているだけで」3年前、ヤクルト首脳陣が語っていた若き大砲の可能性《二冠独走&ASセ最多得票》
text by
長谷川晶一Shoichi Hasegawa
photograph byTokyo Yakult Swallows
posted2022/07/25 17:01
2022年、三冠王も狙える圧倒的な成績を残している村上宗隆。初めて4番に座った3年前から、誰もがそのずば抜けた潜在能力を認めていた
「入団直後の体力測定において、村上の数字は他の先輩選手たちよりも図抜けていました。高卒新人とは思えない体力は魅力的です。もちろん、バッティングに関してはまだまだ粗削りな部分も目立ちます。僕から見れば、ここを直せばもっとよくなるのに、という部分もあります。でも、今は球団の方針として、しばらくの間は本人の意思を尊重しようという考えもあるので、実戦を通じて見守っているところです」
誰もがその潜在能力を認めるからこそ
メジャーリーガーとして活躍後、古巣に復帰した青木宣親もまた、村上の潜在能力に対する評価は高い。ロサンゼルスで行われた今年の自主トレには、自ら村上を誘った。その意図を問われた青木は、「チームのためにも若い選手に出てきてほしいし、成長してほしいから」と答えている。こうして村上は間近で青木の野球に取り組む姿勢、プロフェッショナルとしての在り方を身をもって学ぶこととなった。
誰もがその潜在能力を認めているからこそ、「焦らずにじっくりと」という思いで村上のことを見守っている。野村克也の言うように、「4番打者は育成できない」のであれば、自ら育つのを待つしかない。
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昨年9月16日にはプロ初打席で初本塁打を記録した。この一発は「2000年代生まれの第1号」となった。今春には初めて侍ジャパン入りを経験した。恵まれた体格だけでなく、「村上なら何かをやってくれるはず」とファンに期待を抱かせる華も併せ持つ。彼が打席に入った瞬間、球場内は独特の空気に包まれる。天性のスターだけが身にまとうことのできるオーラを、村上はすでに備えている。
無限のポテンシャルを誇る驚異の19歳。真の4番打者となる日まで、その進化は止まらない。
村上宗隆Munetaka Murakami
2000年2月2日、熊本県生まれ。九州学院高卒業後、'18年にドラフト1位でヤクルト入団。打力を生かすため捕手から内野手(三塁)にコンバート。'18年9月16日に一軍昇格、初打席初本塁打を記録。'19年5月12日の巨人戦ではプロ入り初の4番に座った。'21年本塁打王、セ・リーグMVP。188cm、97kg。